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2025年10月の投稿

2025年10月10日 (金)

発災から1年9ヵ月、能登半島大震災の被災者は自力再建を求められているのか?

 諸事情から能登半島に今年初めての取材(9月30日~10月2日)に先日行ってきたばかりだ。

報道機関としての役割を置き去りにして、全く報道することのないNHKや民放などの全国放送網。

フリーランスとして伝えられることはわずかだが、現状の可視化を試みるほかはない。

二対の写真は最初の取材時のものと、先日撮影したものを並列に並べてみた。途中経過を無視したようなこの提示方法は、味気なく、冷たい印象で申し訳ないのだが。

 元旦大震災から1年9ヵ月、予想以上に公費解体が進んでいた。更地化され見渡す限り何もなくなった地域の出現がもたらす思いは、深い悲しみと希望を感じさせにくい現実。被災者が仮設住宅の仮住まいを出て、故郷に戻ってくる姿が見られるようになるのかどうか。

東日本大震災と東電福島第一原発事故後の被災地のたどった歩みを思い出せば、残念なことだが、想像は難しいことではない。

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輪島市の倒壊した7階建ビル。2024年1月撮影    倒壊したビルはキレイに解体撤去されていた。2025年10月

動画:輪島市朝市大規模火災現場 2024年1月撮影

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朝市大規模火災跡。2024年1月10日         発災から1年9ヵ月後の朝市跡地。雑草の繁茂する草原となった。2025年10月

動画:輪島市中心部の大地震による地割れやマンホール隆起。2024年1月10日

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全壊したホテルメルカードと住宅街。輪島市内2024年1月   解体更地化されたホテル跡地。2025年10月

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大規模崖崩れ(輪島市トンネル脇)2024年1月    大地震の爪痕の崖崩れ現場は修復半ば。ここはその一つに過ぎない。2025年10月 

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珠洲市宝立町鵜飼地区。鵜飼漁港裏、2024年5月    マンホールも戻り、住宅街は軒並み公費解体更地化が進んでいた。2025年10月

動画:大地震と津波のダブルパンチで壊滅的被害を受けた珠洲市宝立町鵜飼地区。 2024年5月23日撮影

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鵜飼地区の定置網漁師の寺山一男さん。地震と津波で自宅は全壊。乗組員の一人は津波で亡くなった。2024年5月撮影(左)。定置網は流され、大きな借金で新規に取り換えた。自宅と周辺の住宅は2024年12月までに公費解体され更地に。海が目の前に見えるほど何もなくなった自宅跡と周辺は、雑草繁茂する荒れ地となった。(右)2025年10月撮影 当分の間は狭い仮設住宅での生活が続く。

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鵜飼漁港の定置網漁師寺山一男さん(寺山水産)。 漁船一隻は新潟県まで流され廃棄に。写真一人は避難中に津波で命を奪われた。引きこもり状態に近いと話した。(左写真) 定置網を新規に設営し、操業再開したのは2025年9月21日。漁師としての生活が戻ってきたばかり。(右写真、2025年10月)

動画:寺山水産(寺山一男船長)の定置網漁再開(2025年10月1日撮影)

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珠洲原発建設反対運動の中心的役割を果たした浄土真宗大谷派の塚本真如住職の圓龍寺は全壊となった。奥さんは地震で足を挟まれるケガを負った。珠洲市高屋。(2024年7月撮影) 寺は2025年春までに公費解体更地化されていた。急傾斜の崖を背負う敷地は思いのほか狭かった。崖崩れの可能性があるので、寺の再建は場所を移し、小さなものにすることにしているという。(2025年10月)夫婦二人の仮設住宅は漁港と海が目の前に広がる。

動画:全壊した浄土真宗大谷派の圓龍寺(塚本真如住職)。2024年7月撮影

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元旦大地震と9月豪雨との複合災害による酷い結果を痛感させられるのが、日本海に面する外浦の珠洲市大谷町大谷地区。左写真は豪雨災害により上流での大規模な崖崩れが引き起こした土石流と流木で自宅周辺が埋没した則貞武夫さん(83)。則貞さんは複合災害の二重被害者。元旦の大地震で家はつぶれ、奥さん(80)が帰らぬ人となった。公費解体が終わっていた更地の自宅跡は、9月豪雨により土石流と流木で埋まり、自宅から救出したものを保管していた倉庫二棟も土砂におしつぶされた。則貞さんは昨年末から一間の仮設住宅生活だ。

1年ぶりの大谷町。則貞さんの敷地跡は土石流の痕跡は見られないほどに土砂流木は撤去されていた。が・・・。

動画:大谷町の2024年9月21日豪雨被害。2024年10月2日撮影

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土石流により屋根まで埋まった真宗大谷派の浄正寺。その下方には同じく願念寺があり完全に埋没した。(左写真、2024年10月撮影)

昨年12月末の取材では、大量の土砂が撤去され、数メートル真下には舗装道路が走っていることを知った。元旦大地震では二つの寺の上部にあり崖を真後ろに建つ広栄寺の住職が犠牲となり、豪雨災害では浄正寺の貞廣さんが犠牲となった。

元旦大震災による崖崩れ、地層のずれ、9月豪雨による地すべりと土石流発生。未曽有の複合災害の被災現場は奥能登の広範囲に広がっている。

公費解体更地で何もなくなった広大な空き地。広範囲で数え切れない複合災害の現場はほぼ手つかず。激甚災害による住民支援の大きな動きはまったく感じられない。あたかも「自力再建」をしてくださいと言っているようなものではないか。「棄民政策ではないですか」と、ある人はつぶやいた。

 これで終わりにしては、あまりにも希望ゼロでしかないと思われるので、漁が復活してそれなりの賑わいを見せる輪島漁港の動画を紹介しておきたい。(丁寧な撮り方でないのは申し訳ないが)

動画:輪島漁港の荷揚げ風景。(2025年10月1日撮影)

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