空師高橋渉さんの樹上の舞
空師とは、一般的に「特殊な木登り技術を駆使して木に登り、枝や幹を伐る、樹上作業の専門家」のことだという。
長野県安曇野市に住む空師の高橋渉さんは、チェーンソーでスパッと伐採もする。
樹上での舞のような熟練技を拝ませていただいた。ご覧ください。
空師とは、「 まだビルのような木より高い建物がなかった時代、空に一番近い場所で作業する職業であったことが名前の由来」だという。
両足に付けた爪と一本の命綱だけで、登り降りは自在。チェーンソーは腰から下げるだけ。
別荘の広い庭にある、ひょろひょろと伸びた、樹高約30mのアカマツやカラマツの林。
空師高橋さんは、ノコギリで枝を少しづつカットしながら登り、チェーンソーで天辺から少しずつ伐採。降りながら玉切りにしてゆく。一本の木が30~40分で切り倒される。チェーンソーの切れ味最高。動きは神業のように素早く、ムダがない。
安曇野市に住む高橋さんは空師となって22年。生れ育ちは東京都立川市だという。小諸市の造園家和久井さんが管理する御代田町内の別荘の林を整備する一貫で、空師高橋さんが登場。和久井さんのお手伝いの私は、運よく熟練空師の技を拝むことができた。
高橋さんの作業を見守る造園家和久井さん、
植木の仕事から空師になったという高橋さんの話を聞き、驚きかつホッとしたのは、高橋さんが登ってみるかと言われるまま、最初に登った時、降りる段になったら、怖くて怖くて、深く呼吸して気持ちを落ち着かせることはできたが、足の震えが止まらなかったのだという原体験だ。
何とも、すごい職業があり、それをいとも簡単にやり抜く人がいるものだ。
空師高橋さんは、造園家の和久井さんとは20歳以上の開きがある。二人が並ぶと、高橋さんの風貌は和久井さんと同い年くらいの仙人に見える。高橋さんは命を削って樹上で舞っているのではないか。
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