安倍晋三は「ご破算で願いましては」男(宗補雑記帳から復活ブログ)
2007年5月26日 安倍晋三は「ご破算で願いましては」男
ご破算で願いましては・・・。安倍首相はそろばんが得意だ。ここでいうそろばんというのは、歴史の事実を一言でいとも簡単に洗い流してしまう、人として、首相としてあってはならない姿勢を意味している。本当の算盤の熟練者とは異なることは断っておきたい。
彼がオウムのように繰り返す「戦後レジームの見直し」キャンペーンは、まさしくご破算で願いましてはのやり方だ。その結果が教育基本法改正、日本国憲法改正、その後に続く自衛隊自衛軍化、9条の破棄、自衛隊米軍下請化、天皇元首化、報道規制化などの「戦前忘却路線」だ。よっぽど自分が生まれ育ってきた戦後の体制が気に入らないのだろう。
戦後レジームの見直しだけを声高に繰り返すことで、安倍が抹殺し歴史から消し去ろうとしているのが、「敗戦」が戦後レジームを産み落とした事実であり、敗戦を自らの意志で招き寄せ、日本の崩壊を招いた戦前戦中レジームの責任のありかだ。戦後も責任を取らないままで生き延びた天皇を担いだ戦争指導者であり、軍部と仲良く歩んだ政治家であり、戦争と植民地化で行われた日本軍将兵の罪状も含む。
安倍政権誕生後、教育基本法改悪から、国民投票法を成立させ、憲法が禁じる集団的自衛権の見直し指示などと矢継ぎ早だが、首相ひとりの考えと間違った歴史認識からだけで実現するわけはない。先日の朝日新聞月曜コラム(5月14日)の早野透氏の記事で知ったのが、安倍政権の政策の中枢を固めるのが「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の顔ぶれだという記事だ。会の代表は中川昭一、幹事長は衛藤晨一、事務局長を安倍晋三が務めるという。中川も安倍も二世のボンボン議員で靖国参拝派だというところは共通している。記事によると、歴史認識を共有する戦後生まれの戦争を知らない世代の若手議員たちが、ある時、戦争中に子ども時代を送った長老格の河野洋平議員を事務所に呼びつけ、従軍慰安婦問題で謝罪した「河野談話」をやり玉にあげ、河野氏をつるし上げた。文中には「つるしあげ」とはもちろん書かれていないが、安倍氏らとのやりとりが記録に残されているらしく、発言が正確に引用されている印象を受けた。
「この程度のことを外国に向けてそんなに謝らなきゃいかんのか。兵隊にも何も楽しみがなくて死ねとはいえない。楽しみもある代わりに死んでくれと言っているわけでしょう」(K議員発言)
ものすごい恥さらし発言だ。こういうメンタリティーの男が議員を務める資格があるのかと思わざるをえない。
「慰安婦の証言の裏づけをとっていないではないか」(安倍発言)
その後にも安倍氏と思われる発言が続くが、誰の発言かはあいまいにされている。 実は、このつるし上げの一件は、以前にある人から聞いたことがあったので、このことかと思い至ったのだが、議員の名前を伏せたり安倍氏自身の発言の引用をあいまいにした点が残念だった。隠さずにストレートに出してほしかった。
それにしても、この一連のやりとりから伝わってくるのは、安倍首相らの戦争を知らない子どもたち世代の怖さと同時に、歴史認識以前に日本人は中国人や朝鮮半島の人たちよりも優秀であると思いこんでいるらしい傲慢さだ。この点は石原都知事にも共通する。
日本を本当に近隣諸国から信頼され尊敬される国にしたいと安倍政権が考えているのならば、過去の歴史的事実に対して開き直ることではなく、玉砕や特攻を美化することでもなく、おごることなく、謙虚な姿勢で対処することではないのか。戦争という自他を傷つけて殺す行為の繰り返しとなる要素を、地球上からできる限り取り除く努力をするのが政治の責任ではないのか。
三週間後、安倍政権とは真っ向から対決する生き方をしてきた福島菊次郎さん(86歳)の講演会が明大リバティタワーで開催される。都内での講演は、「写らなかった戦後 菊次郎の海」刊行直後の時以来だから2年ぶりとなる。年齢的にも最期の機会となるかもしれないので「遺言」講演会と名付けさせてもらった。今回も進行役をやることになるが、二等兵としての戦争体験が原点として、日本の戦後体制と格闘してきた福島さんの生の声をとりわけ若者やジャーナリズムの仕事をしている記者たちに聞いてほしいと願っている。
会場入り口では福島さんが自ら制作した写真パネルも展示する。報道カメラマンとして一世を風靡した福島さんの代表作もスライド上映で紹介する予定だ。福島さんの生き方について私がこれまでに書いた記事はほんの一部を紹介しているにすぎない。どうか本人の表情を見ながら、戦争を軍隊を嫌う福島さんの肉声を聞いてほしい。必ず心に来るものがあるはずだから。
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