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2019年9月11日 (水)

国家は国民に奉仕するための機関ではなかったのか?(宗補雑記帳から復活ブログ)

2007年4月4日 国家は国民に奉仕するための機関ではなかったのか?

 日本という国家が国民のために存在しないことを証明する出来事ばかりが続いている。

日本史教科書検定では、沖縄戦の「集団自決は日本軍に強いられた」部分を、「強制ではなかった」という記述に修正させた文科省。
 集団自決とは別のかたちで、日本軍により安全な壕から追い出され、アメリカ軍の攻撃の前に身をさらし、砲弾で吹き飛ばされ死んでいった沖縄の人が夥しい数ではないのか。八重山諸島では、日本軍の軍命によるマラリア有病地への強制疎開により、マラリアが発病し3600人をこえる離島の島民が病死している

 A級、B級戦犯合祀を旧厚生省が靖国神社側に積極的に働きかけていた証拠文書が公表され、靖国神社が勝手に合祀したのではないことが明らかになった。A級戦犯合祀の際は「外部発表は避ける」ように旧厚生省は要望していた。この件に関し、「問題ない。合祀を行ったのは神社だ。(旧厚生省は)情報を求められて提出したということではないか」とコメントした安倍首相

 日本遺族会会長の古賀元幹事長でさえも、「かなり国家が関与している」と言い、山崎拓前副総裁も「むしろ旧厚生省が積極的に進めていたことが分かった」と述べていることと単純比較しても、安倍首相は日本語が読めても、理解できないことを白状しているようなものだ

 従軍慰安婦問題についても、「日本軍による強制の根拠はない」と発言し、日本軍のための従軍慰安婦が日本軍占領下各地に存在した事実を曖昧にし、道義的責任さえ無視して、「強制か強制ではないか」というような点だけにこだわる安倍首相

 フィリピンの元慰安婦らは、マニラの日本大使館前で、「日本軍による強制連行だった。安倍の嘘つき、安倍が戦争中にフィリピンにいたら、女性をレイプする側の1人になっていたはずだ」と、安倍首相を激しく非難したと日刊まにら新聞が報道していた。

 また、東海地方などの中国残留孤児が、「孤児の早期帰国の実現に国は適切な措置を戦後一貫して怠ってきた。孤児が日本で自立した生活ができないのは、国が支援策を極度に怠ったからだ」と国に賠償を求めた訴訟では、名古屋地裁は賠償請求を棄却した。
 判決は「孤児となった原因は、旧ソ連の侵攻時に保護しなかった国策にあると指摘。帰国後の自立を支援する国の法的な義務を認め、孤児の多くが生活保護を受ける事態につながったと」と明確に指摘しながら、「北朝鮮の拉致被害者と比べるのも相当ではない。自立支援策の義務違反はない」としているた、矛盾した結論としか思えない。

 東京地裁が、沖縄返還協定の日米の密約を報道した元毎日新聞記者、西山太吉さんの国を名誉毀損で訴えた損害賠償を棄却したのも矛盾だらけだ。アメリカの公文書公開と、日本側の元外務省担当者自身が密約を認めたことにより、密約は動かない事実になのにも関わらず、「密約はなかった」と言い続ける政府。裁判所も裁判官も、「私たちは国家の御用聞きです。三権分立は名ばかりです」と認めているようなものだ。国の間違いを指摘し、国民のために正すのが裁判所の役割ではなかったのか。

 毎日よくこれだけ国民を軽視したニュースばかりつづくと思っていたら、何と「美しい国づくり」企画会議(座長は日本画かの平山郁夫氏)が始まるという。皇室を敬愛し、君が代を暗記させ、特攻や自決を美化する道徳教育でも提案するつもりなのか。

そこで思いついたので、あるインド近代史の巨人の言葉を引用したい。
「教育は両刃の剣である。品位と謙譲に欠けた教育ある人間は時として野蛮人より危険なことがある。彼の受けた教育が貧しい人びとの幸せに有害なものだとすればそのような知識人は社会にとって呪いとなるであろう。教育より品性の方が人間にとってはずっと大切なのだ」  これはインドがイギリスから独立した直後の初代法務大臣を務め、ヒンドゥー社会の「不可触民」制廃止を定めたインド憲法を起草したアンベードカル博士が言ったものだ。不可触民(アンタッチャブル)を「ハリジャン」と言い換えただけのガンジーと真っ向から対決したのが、不可触民出身のアンベードカル博士だった。

 品位と謙譲が欠落した首相が続き、二人の先輩格の都知事が再選されようとしている

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