2004年5月28日(金) 二人のジャーナリストの殺害、気が重い悲しくなる日だった(宗補雑記帳よりの復活ブログ
ベテランの橋田さんと若い小川さんがイラクで殺害された。
長年バンコクをベースに取材活動をしてきた橋田さんとは、東南アジアのどこかの現場でお会いし挨拶はしているが、きちんと話したことはない。二人ともフリーランスで危険を覚悟の上での取材だったとはいえ、同業者の一人としては、やりきれない気持ちだ。ニュースで見る燃え尽きた車体と生き残ったドライバーの証言を見ると、ますます胸が締め付けられる。もし自分が犠牲者だとしたらと、置き換えて想像しやすいからだ。避けようがなかった襲撃なのかもしれないが、占領軍を狙う代わりに、無防備で攻撃しやすいジャーナリスト、民間人を標的にする卑怯な連中には怒りを覚える。
TBSラジオに橋田さんが出演した時の音声がTBSニュース23で流された。イラク取材で最も怒りを覚えることは何ですか、と問われた橋田さんは答えていた。「わかりやすく言えば、アメリカのブッシュですね」。
昨日発表されたばかりのアムネスティ・インターナショナルによるアメリカ政府を厳しく批判した報告書を思い出す。「他国での虐待から目をつぶり、場所と時期を選んで先制攻撃をしかけることで、米国は正義と自由に打撃を与
え、世界をより危険な場所にした」
ベテラン戦場ジャーナリストの一言には本質を捕らえた重みがある。
先日は友人でコンビを組んで仕事をしたジャーナリスト、須田治さんの一周忌と追悼集出版を記念した集まりが長野市であったばかりだ。追悼集「まなざしの向こう側へ」に収録された須田さんの未発表原稿を読み、改めて彼のジャーナリストとしての秀でた感性と、力量に圧倒され、失われた才能の大きさと貴重さに気づかされた。人は時間がたってようやく失われたものに気づくのか、それとも私が鈍感なのか。
個人的には、今日は嬉しい一日になるはずだった。10日前に開腹手術をした連れ合いが、術後の経過も良好で退院する日で、車で病院まで迎えに行って来たからだ。個人的には明るい一日のはずだったが。
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