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2018年12月11日 (火)

2000年9月:朗読者」読みました~宮内勝典海亀通信掲示板書き込み(宗補雑記帳よりの復活ブログ)

(注:この文章は尊敬しその作品が好きな作家宮内勝典さんのホームページ掲示板に2000年に書き込んだものです)

 約1ヶ月ぶりに投稿してみました。 盛夏の8月はいろいろと雑用などに追われる一方で、 8月下旬までは全く本を読めず残念でした。夏休みに買い貯めた 本をたくさん読みたいと思っていたのですが。 それでも、気を取り直して、話題の「朗読者」をよみました。重く考えさせる内容とは別に、読みやすかったのには救われました。 それは何よりも前半を占める15歳の主人公と40歳前後と思われる ハンナとの濃密な愛人関係の描写により引き込まれたものでした。

 「朗読者」のポイントは、積山さんが的確にご指摘されているとおり だと思います。日本で読まれる理由のひとつも、「朗読者」という 小説で描き出されているナチスドイツ時代にドイツが犯した罪を、戦後、ドイツという国家やドイツ人個人個人がどのように反省したか、また、どのように責任の所在を明らかにしようとしたのかを振り返ろうとしている意志に驚いたり、多少の違和感を感じながらも我が日本の戦後に置き換えて、考えざるをえない気持ちになるからでしょう。戦後、戦争責任をあいまいに処理した日本人にはどきりとさせられる 小説です。

 朗読者を読んだ勢いで、ロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」を読み、「ある憲兵の記録」(朝日新聞山形支局)も読み終えました。キャパはハンガリー生まれのユダヤ人で、ヨーロッパ戦線の幾多の生死を分ける極限で後世に残る報道写真を残した稀にみる人物。カメラマンの職業柄、彼の写真は見慣れているものの、この本を読んでいなかったことを悔やみました。キャパは恋人をロンドンに残したまま、アメリカの写真雑誌「ライフ」 の従軍カメラマンとして、第二次世界大戦中の北アフリカ、イタリア、フランスなどの各最前線をヘルメットにカメラだけで渡り歩きます。目の前では多数のイギリス兵、アメリカ兵、フランス兵などが死んでゆき、仲間のライフ誌従軍カメラマンは沖縄の伊江島で死にます

 同じ頃の中国・満州国では、山形出身の若い農民が憲兵として、天皇を頂点とする大日本帝国のために忠実に働き、国土を外国人である日本人に蹂躙され愛国心を心に秘める無数の中国人を捕らえ、処刑場へと送ります。72歳となった元憲兵の土屋さんが、新聞記者に語り、新聞紙上に長期連載されたものをまとめた本が「ある憲兵の記録」ですが、何年も前に買ったものの、なかなか読む気が起きなかった本でした。

 土屋さんが憲兵として10年以上勤めたのは、海亀の宮内さんが暮らしたハルピンからは遠くない、チチハルというロシアとの国境近辺の街ですが、敗戦後はロシアと中国の収容所に入れられ、帰国するまで11年間の抑留生活を送ります。その間、土屋さんは自ら罪の総量を振り返り、14年間に、328人を直接間接に殺し、1917人を逮捕拷問し刑務所に入れたという恐ろしい数字でした。

 「自分は戦争の加害者であり、中国では鬼だった。再び、あのような侵略戦争を繰り返してはならない」と語る土屋さんは、各地で自らの体験を話し、反戦を訴える活動をしているという。また、1990年には中国に「謝罪の旅」にも出ている。この本には、「善良な地方の一農民を、平気で人を殺す兵や憲兵に仕立て上げ」た当時の日本の時代背景も描かれています

 すでに亡くなった私の父親も中国大陸で憲兵をしていたので、この本はショッキングでした。もし、我が父が元気な頃に憲兵時代に何をしたのかを話したとしても、私はどう対応すれば良いのかわからなかったでしょう。父は戦争体験については完璧に口を閉ざしていました。ただ、昭和天皇が死んだ時、戦争責任を取らなかった
天皇裕仁を非難する私に激しく怒り、勘当だと怒鳴られたことをはっきりを思い出します。

 たまに投稿すると長くなりすぎますね。みなさん、宮内さん、ご容赦ください。

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