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2017年5月の投稿

2017年5月11日 (木)

熊本大震災から1年 生活再建、復興とは何かを考えよう

(写真はクリックすると拡大します)

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熊本大震災から1年後の被災地に、三度目の取材に入った。
壊滅的な被害を出した益城町中心部に添って流れる秋津川沿いは、例年よりも遅れた桜が満開の時期と重なった。一件の民家が解体中だった。壊れて住めなくなった家屋の解体と更地化の進行が、昨年7月の取材時からすると、すごいスピードで進んでいる印象を強く受けた。満開の桜を背景に解体される民家は、どこかシンボリックな光景だった。


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「仮住まい47725人」の大見出しが際立つ、熊本日日新聞4月14日朝刊紙面

一体、全国のどのくらいの市民が、これほどの深刻な事態を実感していただろうか?

このブログの読者には、原発事故後の福島県の浜通り、例えば浪江町で発災から5年~6年後にようやく始まり、軌道に乗った家屋の解体撤去、更地化の現在進行形の事実を想像しながら、熊本地震後の、家屋の解体更地化の進展を考えてほしい。
 
 このブログでは、最初の取材および昨年7月の取材時と、大地震から1年後の被災地の変化をわかり易く伝えるために、二枚の写真を合体させてみた。左側の写真が昨年の4月か7月に撮影したもので、右側が1年後の4月に撮影した写真です。壊滅的な被害を出した地区の更地化が顕著だが、被害がわかる写真がないと、現場に立つ機会のない人には、被害の規模さえも想像できないからだ

益城町
Photo益城町寺迫地区


Photo益城町惣領地区。


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益城町惣領地区


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益城町木山地区。死者が出た家の跡地に用意された献花台。


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更地化の進む木山地区。


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益城町木山地区。

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益城町木山地区


_n618909jpgsumijpgweb犠牲者の出た家の跡地に設けられた献花場所、

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益城町宮園、宮園公民館周辺

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壊滅的な被害を出した地区の更地化が顕著。
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様々な事情で解体の遅れている家屋も、もちろん、あちらこちらに点在する。

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西原村

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原木シイタケ専業農の家荒木一さん宅は、1月に解体され、更地になっていた(風当地区)
_n610573jpgsumijpgweb荒木さんについての琉球新報の記事(4月27日掲載)

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集落移転の話も検討された大切畑集落。


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風当地区に残る全壊家屋。


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Photo酪農家の大川充洋さん。今年二月半ばから、生乳の出荷を再開(星田地区)
_n610578jpgsumijpgweb大川さんについての記事(4月26日掲載)。


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「味の山一」料亭と仕出し屋を経営していた緒方登志一さんは、全壊した料亭を改造し、昨年10月から営業を再開した。(布田地区)

_yyy3472jpgsumijpgweb持ち込まれたマグロを解体する。

_n610576jpgsumijpgweb緒方さんについての琉球新報の記事(4月28日掲載)

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布田川断層マップには、大切畑ダムを縦断するような、新たな断層が見つかっている。(ピンク色の太い線が新たに見つかった断層。西原村の荒木さんの自宅の近くを布田川断層が走っている。

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布田地区の裏手は小高い山が連なっているが、大地震の前は小さな滝が流れていた場所が完全に崩落して、深いV字渓谷ができていた。その後の豪雨の度に崖が崩れ、谷間が広がりつつある。緒方さんはじめ、布田地区の住民は、地震よりも山崩れによる土石流の被害を現実視している。
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V字渓谷となった場所のわずか200~300ⅿ下流には、民家が立ち並び、地震により全壊し、更地となった空間も目立つ。この場所にあった民家が本震でつぶれ、年配の男性が圧迫死した

 隣に住み、地震後に隣人の救出にかけつけた森幹雄さん(60)は、解体され更地になった自宅跡で生活再建の厳しさを語った。「集団移転の話が出ている。目途が立たない。先が見えない。どうにもならない」
奥さんは自宅跡に住むのは怖くて嫌だと話しているという。
それでも、「東北の被災者や原発事故被災者よりも、ずうっとましだと思う」と話した。

南阿蘇村と阿蘇市
_yyy4318jpgsumijpgweb崩落した阿蘇大橋。

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東海大阿蘇キャンパス近くの倒壊し、学生の犠牲者の出たアパート。

_yyy4247jpgsumijpgweb1周忌の黙祷に音連れた学生たち。

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同じく、東海大阿蘇キャンパス近くの倒壊し、学生の犠牲者の出たアパート。


_yyy4331jpgsumijpgweb阿蘇キャンパスの入り口に建つ、全壊した建物と、崩落した土手。


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阿蘇市狩尾地区の大きな地割れはまだ手付かずだった。地割れは約2キロに及ぶため、広い水田地帯の耕作は、大規模は土地造成事業が必要なため、農業再開は来年まで延期されている


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断層と地割れが顕著な水田地帯。
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犠牲者を追悼する住民(4月14日、益城町木山地区)
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「被災者150人聞き取り調査 「元の場所戻りたい」8割」(熊本日日新聞4月16日掲載記事から)地元紙による被災者聞き取り調査が載っていたので、ポイントのみ書き出したい。


「地震前の居住地に戻りたいか」は63%(94人)。
「戻りたいけど戻れない」が19%(28人)

合わせて8割超が転居を希望しない。

「住まいの再建・確保」の「見通しが立たない」が50%(75人)
自宅の復旧や入居先の確保が被災後1年では困難。

現在の生活への不安や不満などが「ある」「どちらかといえばある」は57%(85人)。
その理由として48人が「住まい」

健康面では、35%の53人が「この1年間で体調不良があった」と回答。
3人に1人以上が今も不調を訴える。
24人が不眠や強いストレス、いらいらなど感じている。
10人が病気の発症・悪化。

就労に関しては「変化なし」が60%(90人)。
残る60人のうち農業や自営の計22人が「再開できない」「廃業した」などと回答

「行政への希望」では、復旧や家賃への補助関連が17人。
原則2年とされる仮設住宅の入居期間の延長を望む人が13人。

「将来への希望や不安」については、金銭面から住宅再建へ不安を感じる人が31%(47人)。
「地域が再生するのか心配」とする声が21人。

約2割の被災者が、元の居住地に戻りたくても戻れない、という点が、最大のポイントだと思う。

狭すぎる仮設住宅(西原村)
 夫婦二人で生活する二軒の被災者の仮設の広さ?を紹介する。

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西原村の大きな仮設住宅の朝。


_yyy4090jpgsumijpgweb荒木さん夫妻の仮設住宅は1K。居間兼寝室が6畳マイナス押入れ分の1畳
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_yyy4553jpgsumijpgweb緒方さん夫妻の仮設も1K。荒木さんと同じ間取り
「誰もが狭い仮設は一日でも早く出たいが、家を建てる金はない」と緒方さん
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_yyy4229jpgsumijpgweb仮設住宅の夜。

原発事故後の福島県との比較のための参考に
_n619700jpgsumijpgweb地震で倒壊寸前のままに残された神社と鳥居。除染は完了し、今年3月31日に避難解除となった地域にある。(浪江町、2017年3月撮影)

_n611245jpgsumijpgweb地震には耐えたが、原発事故により帰還困難区域に指定され、手付かずにされたままの大熊町の住宅街。2017年3月撮影。

取材後記
 壊れて住めなくなった家屋の解体、更地化は、生活再建の第一歩。解体撤去、更地化のスピードは速いものの、大震災と表現するに値する熊本の地震の被害から、被災者と被災地が立ち直ることは、決して楽なことではないことは、写真などから現場に立たなくてもわかると思う。

 地震という天災と、原発事故という人災による、生活再建、復興への道のりの極端な違いを想像してみてください。まして、原発事故による放射能汚染が深刻な地域の住民にとっての、生活再建とは、復興とは何か?

 以下は熊本大震災取材の記事です。参考にしてください。
熊本の地震は大震災ではないのか?熊本大震災フォトルポ(4月29日~5月2日)

熊本の地震は大震災ではないのか第2弾(7月13~15日取材)

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