あなたも行きたくなる、「そうだ!希望の牧場へ行こう!バスツアー」 第一回の報告
(写真はクリックすると拡大します)
シン・ゴジラを宣伝する自衛隊の広報ウィンドーから始まったツアー。
シン・ゴジラと陸海空自衛官募集が合体したポスターと、陸上自衛隊福島駐屯地創立63周年記念行事のポスターが貼り出されていた。(福島駅の地下通路)
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10月1日(土)、新幹線福島駅改札出口で集合した一行16名(参加者は関西圏や首都圏などからで、7割が女性)は、駅前で小型バスに乗り込み、浪江町と南相馬市との境に位置する希望の牧場へと向かった。全村避難となっている飯舘村を通り抜けるルートのため、フレコンバッグの仮置き場(吉澤さん流に表現すると、フレコンバッグの古墳地帯)を右に左に見て、真東の太平洋の方向へと向かった。飯舘村ではトイレ休憩後にバスを降り、ツアー参加者は黒い袋の山をまじかに体感した。
神戸から参加したご夫婦は、持参したガイガーカウンターで空間線量を計ってみた。希望の牧場の放射線量が相当に高いことを後で実感することになる。(飯舘村)
用意周到の希望の牧場スタッフ。針谷さんと柴田さんのコンビで、移動するバス車内で牧場や吉澤さんについて、参加者の知識を確かめるというか、笑えるクイズを出して、あきさせない努力をしていた。
Q:「吉澤さんはバツ3である?」というクイズもあった。正解は???
昼食は今年7月に避難解除されたばかりの南相馬市小高区で営業再開している「双葉食堂」。てんこ盛りのラーメンなどが特徴。昼食を済ませ、いよいよ「希望の牧場」に到着。入口でバスを降り、歩いて広い牧場の中ほどへ向かう。原発事故を生きのび、放射能汚染されながらも、天命を全うしようとしている300頭をこえる牛たちは、我関せずの態度で、牧草地で午睡を楽しんでいた。
一見、何の変哲もない高原の、のどかな牧場に観光客の一団が到着したような風景だが。
両手には真っ赤な花火とも爆弾とも見えるものを持ち、道化師のごとくに熱弁をふるう吉沢さん。
「アベマリオといいます。北朝鮮ではありません。次の原発大事故はおそらく2020年。福島事故の次は、原発の無理やりの再稼働によって次の大きな原発事故が起きるでしょう。東京直下の大地震。東南海の大地震。2020年が危ない!」(10月28日、訂正しました)
代々木での吉澤さんのパフォーマンス動画。9月22日撮影
吉澤さんがガイド役となり、バスで除染作業たけなわの浪江町の街中を抜け、請戸海岸に向かった。
二度と住むことのできないと判断された住宅などが解体され、除染が終了した更地があちこちに点在する希望の牧場に隣接する集落。
地震により傾き、倒壊は免れているものの、解体される運命にある国玉神社。除染は完了しているが、設置されたモニタリングポストは0.6マイクロシーベルト近くを示していた。
除染しても下がったとは言えない町に、住民のみなさんは帰っても大丈夫ですよと言っているかのように、浪江町の一部の避難解除は来年3月に実施されるようだ。
国が国民に示す「安心安全」の基準がこれ。
請戸海岸で吉澤さんの解説を聞く参加者のみなさん。浪江町では津波などにより180名以上が亡くなったいる。津波の被害は請戸海岸一帯に集中した。津波で流された漁船は全て撤去され、住宅の基礎部分の撤去工事が始まっていた。それでも、イチエフの排気塔が目の前に見える請戸海岸は、津波の爪痕はいまでもあちらこちらに残されたままだ。
請戸海岸には、500億円の予算で、除染で出た可燃性の放射性廃棄物を焼却する仮設焼却炉が稼働している。三菱造船系のJVが請け負った、減容化という美名の、実際にはセシウムなどが濃縮された灰を生産する焼却炉だ。(この写真は今年3月に撮影)
ツアー初日、夜は夕食と交流会で参加者と吉澤さん+牧場スタッフは親睦を深めた。南相馬市の居酒屋にて。
・10月2日(日)ツアー二日目
原発事故由来の放射能の被ばくにより、経済的価値のなくなった牛たちだが、早朝から日課のエサを食べる仕事が始まっていた。
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参加者の数名がボランティアで早朝からのエサやりに参加。やる気満々の面々だ。
誰もが牛だけでなく、生きとし生けるものの命をいたわる気持ちが強い人たちだ。
エサやりの途中の休憩タイムは、牧場でしか味わえない吉澤さんとの会話がはずむ。人生経験豊富な女性たち。遠慮なき質問も飛び交う。
午前中の買い物などを済ませ、エサやりに参加しなかった残りの一行が牧場に到着後は、原発事故後に死んでいった200頭余りの牛たちが葬られている場所で献花と焼香。牧場の奥に建つ吉澤さんのお姉さんの家での昼食と希望ミーティング、そして記念写真などを撮り終え、第一回ツアー一行は福島駅へ向かった。
持参した線量計で空間線量を測定して驚く参加者。牧草地の一角だが、平均して1.9マイクロシーベルトある。牧場は原発から北西方向の一角だ。
原発事故から1~2年の牧場は、犠牲牛が続出。これまでに200頭近い牛が死んだとされる。大雨により、盛り土が流されたようで、牛の骨が露出していた。
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バスに乗り込む前のツアー参加者のみなさんと吉澤正巳代表+お姉さん&スタッフのみなさん。晴天にも恵まれた二日間だった。
普段は仲のよくない???吉澤姉弟が、福島駅へ向かうツアー参加者を仲良く見送った。
普段の静けさを取り戻した牧場の夕方。一見、平和としか見えない牧場の光景が広がっていた。
除染が町内各地で進行し、そこらじゅうに汚染土の仮置き場が作られている浪江町。
全町避難で住民の生活する姿のない町は、確かに「フレコンバッグ古墳地帯」と呼ぶのが相応しい状況と化しつつある。
これでも浪江町の一部の避難解除は来年3月に予定されている。
東京電力の原発事故から5年半。除染完了した場所に設置されたモニタリングポスト。除染しても、0.4マイクロシーベルトと高い数値。
1泊2日のツアーに参加するだけで、原発事故の深刻さや、故郷に帰りたくても帰ることのできない住民の心の内が、より一層身近に感じられること請け合いだ。次回はあなたも参加してみてはいかがですか。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
山本様、お元気そうで何よりです。「希望の牧場ツアー」、感動しました。
人間にとって役に立たない牛さんたちも、やはり命。餌を一所懸命あげて養っていることが、現代でもはや普通ではないという事実に愕然とします。
でも、行けば人もいる、牛さんもいる、お社もある。やはりそこは誰かの故郷で、皆の仲間、牛さんなのだと感じ、勇気をいただきました。
なかなか参加は出来ませんが、ここで見せていただき、嬉しかったです。有難うございました。
投稿: 小原牧子 | 2016年10月28日 (金) 10:08
小原さま
すっかりご無沙汰しています。なかなか盛岡まで出かけることができずに申し訳ありません。
吉澤正巳さんと希望の牧場の現状と遠路はるばる牧場のいま、福島の今を知ろうと出かけてくるツアー参加者のみなさんのことに深い関心を示していただきありがとうございます。
あっという間の5年半ですが、大きく変わったことも、変わらなかったことも多々ある5年半です。
原発事故という人災の脅威を遠くのみなさんが少しでも実感していただければと思い、取材を続けています。
投稿: 山本 | 2016年10月28日 (金) 18:32