SASPL(サスプル)からSEALDs(シールズ)へ。反安倍政権の協力な磁石!
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2014年12月10日、官邸前
12月10日の官邸前。SASPL時代の牽引役でもあった奥田愛基さん。
昨年12月、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)が最後の官邸前抗議活動を主催してから半年。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)という新たに結成したグループとして学生たちが国会前で安保法案に反対する抗議活動をスタートしたのは今年5月14日。
若い世代の参加者の減少などで集会やデモが停滞気味に思えたところ、反安倍政権に対する市民運動は全国規模で活性化され、飛躍的に拡散したのではないだろうか。
「戦争法案」と断じられた違憲立法を止めることはできなかったが、憲法で保障された表現の自由、主権在民を実践する市民が政府の暴走を食い止めようと反対の声を上げ続けた光景は、一縷の希望を日本社会に灯したことは間違いない。
安倍政権が参議院で戦争法案を強行採決する直前に開かれた中央公聴会(9月15日)での、奥田愛基さん(シールズの屋台骨)の胸のすくような意見陳述を引用しながら、いくつかの場面を焼き付けておきたい。
・「『SEALDs』とは、”Students Emergency Action for Liberal Democracy-s”。日本語で言うと、自由と民主主義のための学生緊急行動です。私たちは特定の支持政党を持っていません。無党派の集まりで、保守、革新、改憲、護憲の垣根を超えて繋がっています。最初はたった数十人で立憲主義の危機や民主主義の問題を真剣に考え、5月に活動を開始しました」(奥田公述人)
・衆議院で与野党が招致した3人の憲法学者全員が「法案は違憲」と陳述。(6月4日)
国会前のSEALDsの抗議行動、6月12日
・「現在、まだ国民のみなさまのご理解が進んでいないのも事実です」(7月15日の安倍首相答弁)
・7月15日、衆議院委員会での強行採決。
7月15日
・「まず第一にお伝えしたいのは、私たち国民が感じている、安保法制に関する大きな危機感です」
・「指摘されたこともまともに答えることができないその態度に、強い不信感を抱いているのです」(奥田公述人)
7月16日。激しくコールするのはラッパー学生の牛田さん。専攻は哲学。
7月16日
・「安保法制に関して現在の国会はまともな議論の運営をしているとは言いがたく、あまりにも説明不足だということです。端的に言って、このままでは私たちはこの法案に関して、到底納得することができません」(奥田公述人)
7月17日
7月17日
7月18日、渋谷駅前
・7月27日、参議院で戦争法案の審議開始
7月31日
・「『政治のことは選挙で選ばれた政治家に任せておけばいい』。この国にはどこか、そういう空気感があったように思います。
それに対し私、私たちこそがこの国の当事者、つまり主権者であること、私たちが政治について考え、声を上げることは当たり前なんだということ、そう考えています」(奥田公述人)
8月7日
・「そうした行動の積み重ねが基本的人権の尊重、平和主義、国民主権といった、この国の憲法の理念を体現するものだと私は信じています。(奥田公述人)
8月28日
8月30日。国会周辺、霞ヶ関官庁街、日比谷野外音楽堂などに、主催者発表で12万人が結集。
・「私は、私たち一人ひとりが思考し、何が正しいのかを判断し、声を上げることは、間違っていないと確信しています。また、それこそが民主主義だと考えています」(奥田公述人)
・「今、これだけ不安や反対の声が広がり、説明不足が叫ばれる中での採決は、そうした思いを軽んじるものではないでしょうか。70年の不戦の誓いを裏切るものではないでしょうか。今の反対のうねりは、世代を超えたものです。
70年間、この国の平和主義の歩みを、先の大戦で犠牲になった方々の思いを引き継ぎ、守りたい。その思いが私たちを繋げています。私は今日、そのうちのたった一人として、ここで話をしています。つまり、国会前の巨大な群像の中の一人として、国会にきています」(奥田公述人)
9月11日、青井未帆学習院大教授。
佐藤学学習院大学教授
・「私は毎週、国会前に立ち、この安保法制に対して抗議活動を行ってきました。そして沢山の人々に出会ってきました。その中には自分のおじいちゃんやおばあちゃん世代の人や、親世代の人、そして最近では自分の妹や弟のような人たちもいます」(奥田公述人)
9月12日
9月14日の参議院委員会質疑での首相答弁。
「確かにまだ支持が広がっていないのは事実ですが、時をへていく中において間違いなく理解は広がっていく」
9月14日
9月14日
9月15日、中央公聴会(国会)での奥田愛基公述人の発言冒頭。
「こんなことをいうのは非常に申し訳ないが、先ほどから寝ていられる方がたくさんおられるので、もしよろしければお話を聞いていただければと思います」
・「一体なぜ、11個の法案を2つにまとめて審議したか、その理由もよく分かりません。一つひとつ審議しては駄目だったのでしょうか。まったく納得が行きません。
結局、説明をした結果、しかも国会の審議としては異例の9月末まで延ばした結果、国民の理解を得られなかったのですから、もう、この議論の結論は出ています」(奥田愛基公述人)
中央公聴会。
9月16日、横浜公聴会の会場前での抗議。
国会前。この晩、盛り上がる抗議活動の萎縮効果を狙いすましたかのように、13人が逮捕された。
・「今国会での可決は無理です。廃案にするしかありません」(奥田公述人)
9月17日
・「デモや至るところで行われた集会こそが『不断の努力』です。そうした行動の積み重ねが基本的人権の尊重、平和主義、国民主権といった、この国の憲法の理念を体現するものだと私は信じています。
私は、私たち一人ひとりが思考し、何が正しいのかを判断し、声を上げることは、間違っていないと確信しています。また、それこそが民主主義だと考えています」(奥田公述人)
・9月18日:参議院委員会での強行採決が予想された日。徹夜での強行採決反対集会。
・「勇気を振り絞り、ある種、賭けかもしれない、あなたにしかできないその尊い行動を取ってください。日本国憲法はそれを保障し、何より日本国に生きる民、一人ひとり、そして私はそのことを支持します」(奥田公述人)
・「野党はガンバレ!」コールが続いた。
強行採決後も激しいコールが続いた。
一人牛歩で強行採決に抗議した山本太郎議員。「私たちのいちばん大切なものを取り戻す闘いはこれからだ」と、悔しさを押し殺し、熱く呼びかけた。
私の撮影を阻もうとする公安。まるでかつて東南アジアに跋扈した独裁政権下のメディア弾圧のような振舞だ。
・シールズのメインステージ周辺では、最終的には1000人前後の市民が朝方まで残って強行採決に抗議した。
午前6時までに解散となった。敗北感は感じられなかった。
TBS(JNN系列)世論調査では、53%が法案成立を評価せず、76%が法案の国会審議は「不十分」と回答(9月21日)。
・9月23日、戦争法案強行採決後、最初の大集会となる「さようなら原発・さようなら戦争」が開催、デモ行進は二方向に分散して実施された。
代々木公園野外音楽堂から渋谷駅前ルートを、安倍政権打倒を叫んで歩く人人。原発再稼働にも、戦争法案強行採決にもへこたれず、闘うことをあきらめない。
・この戦争立法が実際に施行されるのを食い止めるには、来年の参議院選挙で、安倍自民公明プラス与党補完勢力を破るしかない。「戦争法案」反対で大同団結できた野党が、徹底した選挙協力をし候補者一本化を計れば、道は残されている。
野党議員に問われているのは、憲法を死守するのか、政党政治にしがみつくのか。民意にそむき、敗れはて、安倍独裁国家へとまいしんする自民公明与党に迎合して生きる議員に成り下がるのか。それだけだ。
同時に、この違憲立法廃案を叫んだ市民が、民意にまったく聞く耳をもたない安倍政権の政治に対しての怒りと悔しさを持続し、シールズの活動がデモ参加者の門戸を開き、協力な磁石となって政策の異なる野党引き込む力となったことを大いなる教訓とし、無関心層が政治は自分たちが動けば変えられると感じられるようになる活動を地道に展開するほかはないと思う。
・「困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安全保障関連法案に反対します」(奥田公述人)
「高橋源一郎XSEALDs 民主主義ってなんだ?」(河出書房新社)
シールズメンバーの一人一人の思考や性格、得意分野などがじっくりと伝わってくる誰にも読みやすい本。奥田さんがグループの大黒柱的存在となっている理由もわかる。9月20日に刊行されたばかりだ。今の20歳前後の若者の考え方や物の言い方なども学べる優れ本だ。中高年に最適。ぜひ!!!
◯蛇足(戦争法案反対デモや集会についての参考ブログ記事は以下に。カラー写真です)
・7月26日:ゴーマンな安倍晋三(首相)による、民意無視、独裁と「違憲政党政治」の終わりの始まり
・9月1日:「戦争法案廃案!」「安倍政権退陣!」のコールが渦巻いた、小雨の中の10万人超国会前抗議フォトルポ
・「民主主義って何だ?」 「これだ!」(9月14日から19日まで6日間の戦争法案強行採決反対抗議行(facebook)
◯取材活動支援のお願い
フォトジャーナリスト 山本宗補活動支援
ジャーナリストの活動を支えてください。
・郵便振替口座(加入者名 山本宗補)
00180-1-572729
・銀行振込
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