「戦争法案廃案!」「安倍政権退陣!」のコールが渦巻いた、小雨の中の10万人超国会前抗議フォトルポ
(写真はクリックすると拡大します)
主催者発表12万人。小雨など意に介さない、ありとあらゆる階層の市民が国会前に集い、熱い熱い「安倍自公政権NO!」を叫んだ。
これらの写真には、圧倒的な説得力を持つ空撮はありません。この日スピーチした坂本龍一さんや森村誠一さん、沖縄米軍基地建設に一貫した反対闘争を闘ってきている安次富浩さんも写っていません。日比谷野音での大集会と霞ヶ関官庁街での不特定多数の参加者の姿は一枚も入っていません。
前日までは、国会前だけでなく、周辺の人の集まり状況を自分の目で確かめたいと思っていたのですが、国会正門前は、抗議集会開始前で、国会前の大通りは参加者に開放されて埋め尽くされ、自由に身動きできない状態になっていたからです。(警備の警察があまりの参加者数に、通常の鉄柵で道路封鎖をすることが、かえって通行の危険になると判断したのかもしれません。)
しかし、国会前と周辺に参加した12万人の名もなき老若男女の一部が登場します。私が話した人では、仙台や大阪など遠方からわざわざ駆けつけた参加者も多数います。ソウルフラワーユニオンの中川さんや漫画家の石坂啓さんのような著名人が「安倍は辞めろ!」コールに参加している写真もあるが、自分自身の頭で考え、憲法違反の「戦争法案」を廃案に持ち込もうという意気込みを持って集まった人人だ。
(60年安保を体験した人は、当時の参加はいろいろな組織が動員した結果の参加者だったが、今は個人の意思でこれだけ集まっているということに感激したという話も人づてに聞いた)
これらの写真は、ともかくも、12万人の一部に過ぎない。身動きできないなかでの撮影範囲が限られてもいるので。それだけはお断りしておきたい。
これらの写真群で、全国の圧倒的多数の市民の民意を背景にした、国会前での主権在民の姿を共有したい。
「民主主義って何だ?」
「民主主義って これだ!」
シールズ(Students Emergency Action for Liberal Democracy - s。自由と民主主義のための学生緊急行動)メンバーが必ずコールするフレーズが、まさしくここにあるからだ。
「戦争法案」を何が何でも強行採決したい政治家やその取り巻き、戦争法案を利用して、利権の甘い汁を求める者たちには、見たくない事実だろうが。
仙台から手製のプラカードを10種ほど用意して駆けつけた老齢のご夫婦。国会正門前に向かいながら意思表示。
国会正面の大通りが決壊し、参加者があふれだした後、すでに参加者で身動きが取れないスピーチが行われる本部周辺から、大通りに出ようとする参加者と、危険な鉄柵をおいたまま参加者を押しとめようとする警察。
過剰警備により参加者にけが人が出そうな状況だった。
参加者はシールズを守るように円陣を組むような形で座り込み、動かない意志を明確にした。左右からも後方からも続々と参加者が押し寄せ、大通りが完全に開放された空間となった。この場所を市民が埋め尽くしたのは、2012年7月の再稼動反対を求める抗議以来だ。
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「今こういう状況で民主主義が壊されようとしている、憲法が壊されようとしている。ここに来て民主主義を取り戻す、憲法の精神を取り戻すということは、まさに憲法を自分たちで血肉化すること。とても大事な時期だと思います」(坂本龍一さん。東京新聞からの引用。以下、森村さん、安次富さんのスピーチも同)
山梨県の大学1年生の小林君。スピーチがうまいだけでなく、ラップのノリも抜群だ。
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家では父親が政治の話題を話しているので、中学生のころから政治に関心を持つようになっていたという。同級生と政治のことを話題にすることはほとんどなかったが、メディアで報道されるようになって、話しかけてくる同級生も出てきたと話した。
「戦争になれば女性に一番大切な美しさを守ることがふみにじられます。もんぺというみにくい衣服を着て、パーマをした女性は髪をそがれ、振り袖を着た女性は袖を切られた。竹やりでわら人形を刺し貫く訓練をさせられた。それを見て私は戦争を絶対にやってはいけないと思った。女性が壊されることは、子どもが生まれなくなり、人生が破壊され、地球が滅びるということです。
安倍政権は(日本を)再び戦争可能な国家にしようとしているが、絶対にいけない。私たちの責任であり、使命であり、義務でもある。今日の雨を共有した女性たちは忘れないようにお願いしたい」(森村誠一さん)
漫画家の石坂啓さんは、「アベ政治を許さない!!」プラカードを持参。
ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さんもいてもたってもいられずに駆けつけたと話した。
山梨県から参加した男性の手作り。米国製ミサイルを手に、戦車で憲法を蹴散らす安倍首相?頭には米国旗をつけている図。「独裁者かお前は 安倍晋三」の決め言葉。ウマイ!!!
「民意を聞こうとしない安倍政権、戦争法案反対の国民の声を聞こうとしない安倍政権は、まさに国民に敵対する政権です。戦争法案反対、新基地建設反対、原発の再稼働を絶対に止めていく。これが安倍政権打倒のトライアングル~国民の大結集で闘い抜きましょう」(辺野古新基地建設反対運動の安次富浩さん)
福島原発告訴団でもおなじみの、「原発いらない福島の女たち」も数名駆けつけていた。
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坂本龍一さんは国会前を埋め尽くした市民に向かってこうも話している。
「僕たちにとって、イギリス人にとってのマグナ・カルタ、フランス人にとってのフランス革命に近いことが、ここで起こっているんじゃないかと強く思っております。
一過性のものにしないで、あるいは仮に安保法案が通っても終わりにしないで、行動を続けてほしいと思いますし、僕も皆さんと一緒に行動してまいります」
◯安倍政権の反応(31日のテレビニュースから)
記者から国会前で大規模な反対集会が開催されたことを問われた菅官房長官のコメントだ。
「一部の野党やマスコミから「戦争法案」だとか「徴兵制の復活」などという宣伝がなされており、大きな誤解が生じており極めて残念だ。こうした点については審議を通じて政府として誤解を解く努力を行っていきたい」
11の法案を一括して審議を始めてすでにまる二ヶ月が過ぎた。誤解などどこにもなく、政府のうそつき、詐欺的答弁が審議が進むたびに明らかになっているからに過ぎない。
◯蛇足
民意に聞く耳を持たないのが最大の特徴である安倍自民公明政権による「戦争法案」に反対し、集会やデモなどに参加する人には蛇足かもしれない。しかし、参議院で審議開始後に新たにわかった安倍政権の詐欺的答弁を二点だけ再確認しておきたい。
1:米艦船で避難する邦人が乗船しているかどうかは、自衛隊による米艦防護の絶対条件ではない。(8月26日)(安倍首相が昨年7月1日に閣議決定した際、集団的自衛権行使容認の必要事例として使用した、あのイラストボードで示したケース)
中谷大臣の答弁は安倍首相の理由付けを国会答弁で否定したに等しい。
8月26日の国会審議での質疑
中谷防衛大臣:「邦人が輸送されていることは判断基準の一つではあるが絶対的なものではない」
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2:核兵器の輸送も法文上は後方支援で可能。(8月5日)
広島に原爆が投下されて70周年の前日での国会審議で、中谷大臣は「核兵器も法文上は輸送が可能だ」と答弁した。
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広島原爆慰霊祭で安倍首相が、「非核三原則」をスピーチから自ら削ったというあるまじき失態など、自民党が墓穴を掘る事例がほかにも続出しているが、この二点だけでも、安保法案の本質は、「戦争法案」であり、政府答弁は国民をだます詐欺に等しいこともよくわかるといえる。
蛇足3として詳述したいポイントは、必要もなくマイナスとしかならない「安倍70年談話」。
予想通り、一人称で「侵略戦争」も「植民地支配」も認めず、一人称で「お詫び」を語ることが無かった。つまり、自分自身の気持ちは全く語らず、最後は「具体的にどのような行為が侵略に当たるか否かは、歴史家の議論に委ねるべきだ」と、8月24日の国会答弁でも逃げたことに明白だ。
首相の安倍晋三は、過去の歴史を学び教訓を生かそうとしない、国会議員の中でも最も不誠実な議員の一人だということが、この「戦争法案」以前に皮膚感覚で嫌われていることにも触れて置く必要がある。
国会とその周辺だけでなく、350ヶ所といわれる全国各地で同時実施された「戦争法案」の廃案を求めるデモや集会参加者は、安倍首相自身や、安倍政権の体質や本質を見抜いているということだ。
最後にやはり空撮写真がないと、全体状況は伝わりにくいので、毎日新聞Webから借用した空撮写真をコピーさせていただきました。
大手メディアの空撮だけでは伝わらない日比谷公園から霞ヶ関官庁街を抜け、国会へ向かう「群集」がわかりやすい動画がYou tubeで公開されています。以下をクリックしてください。
「8月30日、安保法制反対の抗議活動/日比谷公園から国会前へ」
◯付記:衆議院での審議中の、安倍自公政権のデタラメぶりをまとめたブログは以下をクリックしてください。
「ゴーマンな安倍晋三(首相)による、民意無視、独裁と「違憲政党政治」の終わりの始まり」
◯取材活動支援のお願い
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