世論を無視した安倍自民公明政権による「川内原発再稼動!」を阻止するためのゲート前座り込み(8月9~11日)フォトルポ
(写真はクリックすると拡大します)
再稼働反対派を締め出すため、PR館は閉館され、国道からの敷地入り口で封鎖され、誰も入ることができないようになっていた。PR館からの見下ろす眺めがメディアの原発撮影に最適だったのだが。
PR館に展示されていた全国原発リスト。電力会社、営業発電開始年、出力のリストがわかりやすい。第一号は昭和41年(1966年)、日本原子力発電の東海発電所。ラストは2006年の志賀原発2号機となっている。今年2月撮影
ちなみに、再稼働される川内原発1号機(出力89万キロワット)は昭和59年(1984年)に営業運転を開始。2号機同89万キロワット)は昭和60年(1985年)の開始となっている。
8月11日午前10時半ごろ、九州電力川内原子力発電所1号機が再稼働された。11日深夜には臨界に達し、14日からは発電開始され送電が始まったようだ。
約2年続いた原発ゼロが一時的にストップした。九州電力はこの夏の酷暑でも電力が10%も余っていると報道されている。各種世論調査でも6割近い人が原発再稼働に反対しているにもかかわらずの強行だ。
いったい何の大義があるのか?電気は十分に足りているとすれば、金儲けしか考えられない。それも単なる金儲けではない。東京電力福島第一原発の過酷事故はまだ収束作業の真っ只中。廃炉の目処が立っているわけでもない。3・11の過酷事故から4年半。国による強制的な避難を余儀なくされた10万人近い住民は、住み慣れた故郷の町や村に帰ることができないままだ。
9日に約2000人が参加したデモ行進で掲げられた特大横断幕は3本あった。原発の時代に回帰する安倍自公政権の誤った政治を痛烈に批判する象徴的スローガンとなっている。
「被曝前提の避難計画は憲法違反」
「原発事故の責任を取るのは誰だ」
「国民は原発再稼働に不同意だ」
8月9日から11日の再稼働までの久見崎海岸での集会、デモ、ゲート前抗議行動の写真をシェアします。
反対派のテントが50基ほど設営されている海岸側の川内原発のフェンス沿いには、炎天下にもかかわらず、警備会社のガードマンがたくさん配置されていた。普段は監視カメラが設置されているだけなのだが。
◯8月9日(日):久見崎海岸での集会とデモ行進
川内原発が目の前に建つ久見崎海岸で開催された阻止集会。参加者は2000人。
「8月は静かに弔う季節です。8月に稼働するのは人のモラルに反する。何のための再稼働か。金のため、儲けのため。それは戦争と同じだ。軍需産業、軍国主義の論理だ。モラルがないのが減@圧の再稼働だ」(鎌田慧さん)
「障害者の避難計画なしの再稼働はありえない。犯罪だ」
「障害者にとっての最良の避難計画は再稼働ストップと脱原発」
「障害者と原発共存は不可能」
(山口県から参加した岡本正彰さんのスピーチ)
海岸の集会場から川内原発正面ゲート前までの、酷暑の中を2キロの行進が始まった。午後2時。一日でもっとも暑い時間帯だった。
京都から駆けつけた秋山豊寛さん、広瀬隆さん、鎌田慧さんらが横断幕を掲げて歩いた。
ほとんと毎週、国会周辺での抗議にチャリンコで参加する広瀬慎二さんは横浜から参加。首都圏ピースサイクルのメンバー。
自称、「メッセージの運び屋さんから、お披露目屋さん」へ、とのこと。
官邸周辺でチャリンコで走るのは、警察が経済権を口実に、表現の自由を行使する参加者を歩道に押し込め、警察が確保した車道を使って表現の自由を行使していると話した。楽しい人だ。
炎天下、警備の警察により細かく分断され、1時間以上も待たされた状態でゲート前に向かう参加者。
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
鎌田慧さん。
「ベント装置も免震重要棟もない。逃げるあてもない。川内原発再稼働は人道に対する罪悪だ。許せない。
諫早湾のギロチンを思い出す。電力会社はこれだけの抗議を無視しようとしている。ここの参加者は多くはないが、全国には反対の人がいっぱいだ」(写真は10日、スピーチ内容は11日)
広瀬隆さん。
「川内原発が再稼働されれば、細管のギロチン破談が恐ろしい。今は部分的にテストしているだけだが、全体のテストは再稼働するしかない。必ずトラブルが起きる。川内原発は日本で一番危ない原発となる」
福島県大熊町から会津若松市の仮設住宅に避難したままの木幡ますみさん。
「福島の原発事故の原因究明もせず、東電の責任者も野放しで、教訓を学ばないままの再稼働はありえない」
菅元首相。
「安倍首相はあいも変わらず、世界最高水準の安全基準と言っている。あれほどの大ウソつきは珍しい」
座り込み抗議終了後、久見崎海岸で菅直人元首相らによる記者会見が行われた。
◯8月11日(火):再稼働予定日
8月11日、再稼働前のゲート前抗議。警備は前日の倍となった。
早朝から車5台がゲート前に横付けされ、再稼働阻止の抗議を始めていた。軽トラの荷台で座り込む若者。
5台の車は午前10時ころに正門前を離れた。さえぎるものもない道路上で照りつける太陽光を数時間耐えた運転手たちは熱射病寸前だったようだ。
鉄柵にプラスチック製のチェーンをまきつけ、座り込みが始まっていた。
経産省前テントひろばの渕上太郎さんもチェーンをまいて座り込みしていた。
東日本大震災と原発事故が起きた月命日の、8月11日午前10時半ごろに制御棒が引き抜かれ、川内原発が再稼働された。企業としてのモラルは皆無か!
「暴挙だ!」川内原発が再稼働された直後のゲート前で記者会見に応じた菅元首相。
「川内原発1号機のように、経年劣化した原発のトラブルや事故を防ぐ最大の方策は、再稼働を止めるしかない」
「安倍さんは原子力ムラの優等生だ。世論の半分以上が再稼働に反対している。安倍政治は国民から見放されるだろう」
「一時的には脱原発の世界的な流れに逆行だが、歴史的な流れを止めるものではない」
◯反対する地元住民と原発マネーが投下される地元漁村
川内原発の対岸にある薩摩川内市水引地区の米専業農家、岩元和人さん(66歳)
岩元さんは。他の農家から任された水田も含め5ヘクタールで米を作る。手伝う息子も原発に反対だという。
乾燥機購入のために農協から融資を受けようとしたら拒否される嫌がらせもあったという。
「再稼働前から、家族ぐるみの付き合いをしていた漁師が、再稼働まじかになってからは、私を完全無視してあいさつもしない」
農家に抗議集会を誘っても用事でいかれないと、子や孫の時代により危険になることを考えない、地元では反対が広がらないと話す米農家の岩元さん。ゲート前抗議には、地元住民が多くない背景が見えてくる。
海のように広い河口を持つ川内川を挟み、原発の対岸には火力発電所が稼働している。
川内港は古くは、秀吉朝鮮出兵で島津藩が1万人に及ぶ兵隊を送り出した港だったことを記す慶長の役(1587年)石碑(滄浪地区)。「慶長征韓碑」と刻まれている。二度にわたる豊臣秀吉の無謀な朝鮮出兵により、数多の若者が故郷に帰ることが叶わなかった。
石碑に並んで建つ「想夫恋」についての解説文。「戦病死」した兵士が多いことにも言及されている。
400年後、戦国時代から歴史は進んだかに見えるが、日本人の愚かさは安倍自民公明政権の原発回帰政策に引き継がれているかのようだ。
例年の8月16日には、若き妻の元へ二度と帰ることのなかった夫を偲ぶ黒紋付を着込んだ女たちによる盆踊り、「想夫恋盆踊り」が石碑前で踊られるという。
安倍自公政権による無謀な原発再稼働が始まった!!!秀吉の時代の愚かさと違いはあるのだろうか?
◯取材後記
集会の参加者が持っていたプラカード。憲法違反の戦争法案、民意無視の原発回帰路線とともに!
「もう忘れたのか。国土の一部喪失し、それでも再稼動するのか」
あなたはもう忘れたのだろうか?
戦争もしていないのに、国土の一部を喪失したことを。
中国が攻めてきたわけでもなく、北朝鮮がミサイルを撃ち込んできたわけでもないのに。
| 固定リンク
« ゴーマンな安倍晋三(首相)による、民意無視、独裁と「違憲政党政治」の終わりの始まり | トップページ | 「戦争法案廃案!」「安倍政権退陣!」のコールが渦巻いた、小雨の中の10万人超国会前抗議フォトルポ »
「ニュース」カテゴリの記事
- 李元栄(イ・ウオニョン)さんの浜松スピーチ。汚染水放出抗議する!(2023.10.04)
- 東電福島第一原発事故による核燃料デブリ汚染水海洋放出反対の声(2023.09.07)
- 佐々井秀嶺師についての執筆記事一覧(2004年~2018年)(2023.06.06)
- 我が御代田町の、小園拓志町長による深刻極まる町政私物化問題(2022.11.19)
- 残照館(KAITA EPITAPH)として旧信濃デッサン館が復活(2020.06.16)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 東電福島第一原発事故による核燃料デブリ汚染水海洋放出反対の声(2023.09.07)
- 佐々井秀嶺師についての執筆記事一覧(2004年~2018年)(2023.06.06)
- 残照館(KAITA EPITAPH)として旧信濃デッサン館が復活(2020.06.16)
- 「命の行進2020 2020年3月10日」 南相馬市小高区から浪江町請戸海岸まで雨中15キロ 犠牲者追悼行進(2020.04.01)
- 東京五輪の是非を8人と1頭から聞きました(取材は3月7日から16日まで)(2020.03.30)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 東電福島第一原発事故による核燃料デブリ汚染水海洋放出反対の声(2023.09.07)
- 佐々井秀嶺師についての執筆記事一覧(2004年~2018年)(2023.06.06)
- 残照館(KAITA EPITAPH)として旧信濃デッサン館が復活(2020.06.16)
- 「命の行進2020 2020年3月10日」 南相馬市小高区から浪江町請戸海岸まで雨中15キロ 犠牲者追悼行進(2020.04.01)
- 東京五輪の是非を8人と1頭から聞きました(取材は3月7日から16日まで)(2020.03.30)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 李元栄(イ・ウオニョン)さんの浜松スピーチ。汚染水放出抗議する!(2023.10.04)
- 東電福島第一原発事故による核燃料デブリ汚染水海洋放出反対の声(2023.09.07)
- 佐々井秀嶺師についての執筆記事一覧(2004年~2018年)(2023.06.06)
- 残照館(KAITA EPITAPH)として旧信濃デッサン館が復活(2020.06.16)
- 「命の行進2020 2020年3月10日」 南相馬市小高区から浪江町請戸海岸まで雨中15キロ 犠牲者追悼行進(2020.04.01)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 東電福島第一原発事故による核燃料デブリ汚染水海洋放出反対の声(2023.09.07)
- 佐々井秀嶺師についての執筆記事一覧(2004年~2018年)(2023.06.06)
- 「命の行進2020 2020年3月10日」 南相馬市小高区から浪江町請戸海岸まで雨中15キロ 犠牲者追悼行進(2020.04.01)
- 東京五輪の是非を8人と1頭から聞きました(取材は3月7日から16日まで)(2020.03.30)
- ようやく延期されたとはいえ、いつまで「復興五輪」に騙されているのか。(2020.03.29)
「東日本大震災(原発事故・放射能汚染)」カテゴリの記事
- 李元栄(イ・ウオニョン)さんの浜松スピーチ。汚染水放出抗議する!(2023.10.04)
- 東電福島第一原発事故による核燃料デブリ汚染水海洋放出反対の声(2023.09.07)
- 佐々井秀嶺師についての執筆記事一覧(2004年~2018年)(2023.06.06)
- 残照館(KAITA EPITAPH)として旧信濃デッサン館が復活(2020.06.16)
- 「命の行進2020 2020年3月10日」 南相馬市小高区から浪江町請戸海岸まで雨中15キロ 犠牲者追悼行進(2020.04.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
川内原発の再稼働反対の抗議行動ばかりでなく、最後にあった農家のインタビューと、そのあとの征韓碑にまつわる記事が山本さんの視点なのでしょうか。
この町に住む人々の背景がみえてくるし、この2015年8月11日前後の行動が、必ず日本の歴史の重要な1ページになることを、示唆していますね。ありがとうございます。
投稿: 笠原眞弓 | 2015年8月25日 (火) 08:53