もう忘れたのか。国土の一部喪失し、それでも再稼動するのか。
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あなたはもう忘れたのだろうか?
戦争もしていないのに、国土の一部を喪失したことを。
中国が攻めてきたわけでもなく、北朝鮮がミサイルを撃ち込んできたわけでもないのに。
わずか3年9ヶ月前の東京電力福島第一原発(イチエフ)のレベル7の過酷事故により、
福島県の広大な国土の一部が深く放射能に汚染され、
国から緊急避難を強要された地元住民の多くが、
いまだに故郷に帰る目処が立たず、自宅に帰って元の生活に戻る希望を絶たれていることを。
旧東電幹部や原発推進にまっしぐらだった自民党幹部も、まだ誰も責任を取っていないことを。
地震による被害を免れた家が健在であっても、もはやそこに帰って日々の生活を送ることなど
できなくなった、名もなき住民がたくさんいることを。
福島県の震災関連死はすでに1800人を超えたことを。
「福島の復興なくして日本の再生はない」と公約したのは誰かお忘れですか。
「復興」などできようもない大地が、原発事故によって広範囲に生み出されてしまった。
原発事故により引き起こされた目の前の現実は、「ゴーストタウン」であり「死の街」。
そこに除染終わったからお帰りください、とでも広言するつもりか。
選挙公約は何の意味ももたないことは明らか。
安倍自民党、山口公明党の連立政権が、国土の一部を喪失した事実さえも
忘れたかのように、原発を再稼動し、使い続ける政策を共に仲良くやってきた2年間の事実。
それを否定することは彼らもできないだろう。
今年の2月に、原子力発電をエネルギー基本計画の「重要なベースロード電源」と位置づけたのは、
自民公明連立政権。歴史に刻まれた政治転換だったことを忘れたのだろうか。
◯大熊町帰還困難区域
大熊町。帰還困難区域の住宅街。(2014年12月撮影)
大熊町。国道6号線沿線の帰還困難区域。(2013年9月撮影)
18.59マイクロシーベルト。大熊町夫沢第三集会所のモニタリングポスト。1m離れると24マイクロシーベルト前後ある、福島県に設置されたモニタリングポストの中でも、最も高い放射線量を示す場所。(2014年12月撮影)
大熊町の帰還困難区域。原発から西7キロに位置する自宅に一時帰宅した木幡夫妻。自宅庭先は4マイクロシーベルト前後と、下げ止まり。(2014年12月撮影)
2011年12月の一時帰宅に同行したときのブログがこちらをクリック。
かつての水田地帯。大熊町帰還困難区域。(2014年12月撮影)
◯大熊町中間貯蔵施設予定地
大熊町の中間貯蔵施設予定地は、国道6号線の東側の広い地域。イチエフの北側、西側、南側が該当する。
そこには、新興住宅街あり、学校も保育園もあり、大きな病院もあり、工業団地もある。現存する建物の後に、圏内各地の放射性廃棄物が持ち込まれ、30年間保管されることになっている。
想像してみるといい。30年後、放射性廃棄物が仮に運びだされたとしても、自宅のあった土地に生活を求めて誰が帰るというのだろうか。そこには収束も廃炉もわからない事故原発が取り残されている。
人間の営みが5年、10年、30年にわたって消えた街は、国土の喪失そのものではないか。
大熊町。国道6号線の海側。イチエフとの中間に広がる水田地帯。(2014年12月撮影)
◯飯舘村(原発から45キロ)
戦後に山形県から入植した満蒙開拓団の引き上げ者の開沼さん。立派な自宅があっても、家族そろって帰って生活できない。(豊栄地区、2014年10月撮影)
◯浪江町津島(原発から20キロ以遠)
秋も深まった頃、一時帰宅した大内さん。(2014年10月撮影)
大内夫妻。地震ではびくともしなかった自宅。大工となった長男と共に建てた家だった。自宅庭先の放射線量は5マイクロシーベルト前後。原発から20キロ以上も離れていても、もはや帰還の望めない故郷となった。ダッシュ村のすぐ隣に位置する。(2014年10月撮影)
◯結び
あなたはこれでもまだ、原発事故は深刻ではないというのだろうか。
それでもまだ自民党、公明党を支援するのだろうか。
それでもまだ原発再稼動に前向きな政党や政治家を支援するのだろうか。
原発事故により国土の一部が喪失した事実を、
知りながら、知らないふりをすることほど恥ずべきことはない。
原発事故はいまだに収束作業の過程にすぎない。
今後も何十万人の原発作業員という被ばく労働者が必要となるだろう。
事故の原因究明さえもおろそかにしたまま、被ばく労働者の存在を抜きには、
発電できない原発という一部の企業だけが儲かるシステムを、
まだ続けていこうとする道を選びたいのか。
自民党、公明党ほど原発事故の教訓を学んで、日本の未来世代のために生かそうとしていない
政党はないだろう。政治としての責任を認識し、教訓を生かすということは、一旦立ち止まるという潔い判断をすることだ。
無関心はいづれあなた自身と、あなたの子どもたちの世代に跳ね返ってくる。
景気が良くも悪くも、ふたたび原発事故が起きれば、何が失われるのかは明らかだろう。
人の道をはずれた生き方を選び続けることをストップできるのはあなたしかいない。
◯取材活動支援のお願い
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コメント
【安倍のIOC演説】
安倍「汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされています」
↑
後に外国人記者を連れて、福一を見学、0・3平方キロメートルを確認。「問題ない」と言い張る。
「ブロックされてない」と言った「東電」に【圧力】を掛ける。
安倍「健康問題については、いままでも、現在も、将来もまったく問題ないということをお約束します」
↑
安倍、福島県の子供の甲状腺ガンを国会で「原発事故と関係ない」と切り捨てる。
安倍「さらに完全に問題ないものにするために、“抜本解決”に向けたプログラムを私が“責任”をもって決定し、すでに“着手”しています。“実行”していくことをはっきりお約束申し上げたい」
↑
“抜本解決”なし!
「氷の遮壁」は抜本解決ではない。
“責任”を持って、【400億】の「血税」を東電に。
「すでに“着手”しています」
↑
当時全く着手していない。
「凍土壁」は凍らず、3ヶ月放置&隠蔽
投稿: 通りすがり | 2014年12月21日 (日) 00:00
東電が公開した事故当時の動画
http://onodekita.sblo.jp/pages/user/m/article?article_id=57470934
高橋フェロー「避難退避は何時になってんのかな。あとベントができれば、オッケー」
増田所長「本店の人聞いてもらえますか、今1Fにいる人みんなね、2Fのビジターホールに避難すんですよね。・・水が欲しいとかあるんですけど・・2Fに行っている人に・・2Fは1Fのけが人はビジターセンターで受け入れる。2Fの方は危険な状態で2Fは水がありません。除染ができません」
「本部長の清水です。今プラントの状況が確認されていますが、現時点で【最終避難を決定】しているところを確認してください。」
これを見る限り、「東電」が【本気で退避】を考えていたことがわかります。そして、原子炉圧力容器そのものの破損まで。
まさしく、この3月14日は日本滅亡の時だったことが分かります。
それにしても、「清水」の抑揚のない声。実際には何の危機感もなかったことがよくわかります。
(転載終わり)
捕捉
1F→福島第1原発
2F →福島第2原発
ビジターホール →福島第2原発近くの東電施設
自民党は当時も今も本当に糞
ネットゲリラさんのサイトより
http://my.shadowcity.jp/2014/05/post-4898.html
管はよくやったよ。
-----------------------
あの状況で管じゃなかったら何事もなかったように無事済んでたと思ってる奴は病院へ行った方がいい。
投稿: 通りすがりラスト | 2014年12月21日 (日) 00:14