投票前の参考に。「日本国憲法を考えるために」寄稿文(現代用語の基礎知識2014年度版)
(写真はクリックすると拡大します)
秘密法(秘密保護とは名ばかりの情報隠し法なので、今後はこの名前を使用)に反対する学生らSASPLの呼びかけで行われた首相官邸前抗議の一枚。
安倍自民公明党連立与党が、民意に聞く耳を持たない一例に過ぎないのが「秘密法」だ。民主主義を否定する政府の横暴に見て見ぬふりをしていていいのだろうか。
有権者の無関心は、必ず若者たち、未来の子どもたちにはねかえってくる。
◯アベノミクス失政誤魔化し選挙
3年続けて国政選挙がある。しかも大震災・原発事故後の三年間だ。
とりわけの今回の700億円近い費用を使った衆議院の解散総選挙は国民を愚弄した話だ。
2年前の年末総選挙の投票率が低いことと、自民党に有利な小選挙区制が温存されたまま、1票の格差も違憲状態のままだ。
安倍自民公明政権は、アベノミクスの失政のために、年越し後の景気悪化と支持率低下を想定し、駆け込み解散総選挙を実施したのだろう。すべて計算づくでこれほど卑怯なやり方はない。
今日発表された内閣府の7〜9月期国内総生産(GDP、季節調整済み)の改定値が、年率で1.9%減となったことでも景気の悪化は明らかだ。
「生活実感に近いとされる名目GDPも0.9%減、年率で3.5%減と、速報値(0.8%減、年率3.0%減)から下方修正された」(毎日新聞web2014年12月8日)
「円安を原因とした企業倒産は13年が130件、今年が11月までで301件と急増」
「足元の円安による関連倒産は年明け以降、本格的に出てきそうだ」(ロイター通信社web 12月9日)
つまり、1ドル120円をこえる円安の加速に伴い輸入価格の上昇で、さまざまな製品の値上げが目白押し。来年の景気はさらに悪化し、厳しく批判される前に総選挙で議席を維持しようという狙いだ。政治資金の不透明な使い方で女性大臣がドミノ辞任したこともリセットできる。原発再稼動に対する批判も誤魔化せる。秘密保護法批判もかわせる。集団的自衛権行使容認批判もかわせる。原発輸出批判も武器輸出批判も、ことごとくチャラにすることを狙った年末総選挙だ。
2014年6月
女性活用を宣伝文句にうたう安倍内閣の女性大臣ドミノ辞任(テレビ画像から)
アベノミクス失政をごまかすため、リセットする(=二年間のすべての暴走を御破算にする)総選挙以外の何物でもない。
12月14日が衆議院選挙投票日、自民党、公明党には投票しない投票日だ。
安倍政権の菅官房長官が、「争点は政権が決める」などと、民主主義を馬鹿にしたことを平然と言ってのけた。
争点は有権者が決めるに決まっているではないか。安倍首相に追随する大手メディアが決めることでもない。
少しでも政治に関心を持ってきた有権者ならば、安倍首相の暴走2年間を断罪する。
2013年1月
ここでは、安倍自民公明政権下での、憲法改悪の動きを非難する小文を掲載しておきたい。
2014年7月
12月8日は日本軍海軍が真珠湾を奇襲攻撃し、同時に陸軍がマレー半島に上陸し、米英の連合軍を敵に回すアジア太平洋戦争が開戦した日が。敗戦後に誕生した日本国憲法を考える上で相応しい日でもある。民主的な憲法を解釈改憲し、戦前回帰する安倍自公政権の過ちを考えるのにももってこいだ。
現代用語の基礎知識2015年度版が編集者から送られてきた。あの分厚い辞書のような本だ。たまたま二年続けて写真を提供したり、拙文を寄稿したりしたためのご配慮のようだ。
実は2014年度版の巻頭特集が「憲法のこと、どう考えてますか?」という識者48人のアンケートが掲載されている。そこに、私のアンケート回答文も掲載されているので、転載したい。
(「戦後はまだ・・・刻まれた加害と被害の記憶」を出版したのが、アンケートを問われた理由だと思っている)
ちなみに、48人の識者とは、内田樹氏、中村桂子氏、鶴見俊輔氏、鈴木邦男氏、田勢康弘氏、小林節氏、香山リカ氏、宮台真司氏などだ。
設問が6つあり、私は4の「自由民主党が掲げる改憲草案が話題となっています。どのような評価をなさいますか」に対して以下のコメントをした。
(ちなみに、憲法学者で弁護士の小林節慶応大教授は、「喧嘩の助っ人のような海外派兵は慎むべきである」と結んでいる)
◯山本宗補のアンケート回答:
「自民党憲法改正草案は、民主主義とその政治体制の根幹となる「主権在民」思想を意図的に否定しようとしていることに尽きる。国=政府が国民を監視し指示を出す体制への布石だ。いま改憲を優先する発想は、大震災と原発事故により何が失われたかを理解しない無神経で無責任な政治姿勢に他ならない。
自民党政権が原子力発電を長年推進し続け、再生可能エネルギーの推進に逆行する「原発ルネサンス」を狙っていた責任を回避し、国民の怒りの矛先を変えるために出してきたともいえる。大震災と未曽有の原発事故により、どれほどの国民が家も財産も失い、狭い仮設での生活を余儀なくされていることか。除染効果の見えない放射能汚染により、故郷が、自治体が丸ごと奪われ、国土の一部を喪失したに等しい国家危機に対し、政府が優先すべきなのは憲法改正なのだろうか。原発事故の収束を図り、国際社会の信頼を取り戻すことと、避難住民の定住と生活再建、国の経済再建とが最重要課題ではないだろうか。
産経新聞webから
自民党改憲草案は、侵略戦争という認識をごまかし、加害者としての反省の意思がない「歴史修正主義」の産物だ。現憲法の第9条は国権の発動たる戦争を否定し、武力行使で国際紛争を解決することも否定した。日中戦争からアジア太平洋戦争中に失われた310万人の日本人犠牲者と、2000万人に及ぶとされるアジア各地の人々の犠牲に対する深い謝罪と反省の気持ちが生かされている。現憲法前文を変え、政治を司ることのない「象徴」である天皇を「元首」にし、第9条第二項を削除し国防軍を保持するという改憲草案は、戦前への回帰そのものだ。戦後民主主義を全否定することと変わらない。
為政者の都合に応じた改憲を容易にするために第96条改正を狙う発想は、低投票率で誕生した保守系世襲議員がばっこする国会を、歯止めのない多数決で何でも決まってしまう伏魔殿にする。傲慢で民主主義を自ら否定する恥知らずな行為だ」
12月14日が衆議院選挙投票日、自民党、公明党には投票しない投票日だ。投票率が低ければ自公政権批判派が負ける。
2013年12月
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