武器も自衛隊も「輸出」するアベノ積極的戦前回帰主義
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◯武器輸出三原則を改め、「防衛装備移転三原則」に
安倍自民公明連立政権は、民意に大きく反する独裁的手法で秘密保護法を強行採決し、今年は一気に原発の再稼動を推し進めようとする姿勢が露骨。
同時に、侵略戦争の国民的反省から誕生した平和憲法の否定路線を突っ走る。まず、武器輸出三原則を見直し、「防衛装備移転三原則」を4月1日に閣議決定した。事実上の武器輸出解禁となると批判されている。恩恵を受けるのが原発メーカーでもあり、三菱重工のように戦中の軍需産業だった国内防衛産業となる。
10日の東京新聞には小さな記事で、純国産の水陸両用救難飛行艇「US2」をインドに売る交渉の中で、武装付輸出が可能になったことをインド側に説明したとある。1月29日の記事にはすでにここまで書いてある。閣議決定の二ヶ月も前だ。
[ニューデリー 28日 ロイター] 純国産で水陸両用の海上自衛隊救難飛行艇「US2」について、インドは購入する方向でおおむね合意しており、総額は16億ドルを超える可能性がある。複数のインド当局者が28日、明らかにした。一機当たりの価格は1億1000万ドルで、最低でも15機購入する公算が大きいとしている。
共同生産など詳細については、3月に開かれる合同作業部会で詰めるという。
インドのある軍関係者は「当該案件は両国の戦略事項に基づくもので、これまでに政府首脳レベルで明確となっている」と述べた。US2は新明和工業 が製造している。」(記事引用ここまで)
武器輸出解禁に反対する官邸前の抗議行動が小人数で始まった。4月1日
参加者は原発再稼動にも反対し、安倍政権の暴走に危機感を募らせる市民だ。
◯自衛隊の海外派兵を可能にする集団的自衛権の解釈変更に反対する「4・8大集会&デモ」
日比谷野外音楽堂、4月8日
主催は、「解釈で憲法9条を壊すな!4・8大集会&デモ~『集団的自衛権の行使』は海外で戦争すること」実行委員会
この日の参加者は5000人(主催者発表)。満席で会場に入れない人も多数いた。
平日の午後6時に間に合うように参加できる顔ぶれの中心は、やはり仕事をリタイアした世代。
宇都宮健児さんも参加。発売中の週刊金曜日のコラムで宇都宮さんは、集団的自衛権行使容認に一直線の安倍政権を徹底批判している。
「厳格な憲法改正の手続きを回避し、閣議決定や立法手続きで集団的自衛権の行使を認めてしまうことは、本末転倒であり、立憲主義をないがしろにする独裁的手法といわざるをえない」
沖縄選出の糸数慶子議員(沖縄社会大衆党委員長)
「県民の4人に一人が亡くなった沖縄に米軍基地を置いたまま、米と一緒に海外で戦争するところへ日本も出かけてゆき武力行使することに県民は心から反対です。集団的自衛権の行使をすることは、ふたたび沖縄が第一線に立たされることは間違いありません。辺野古へ米軍基地を造り、沖縄の各離島に自衛隊を置いてゆく安倍政権に対し反対していきます。憲法を守り集団的自衛権行使は許さない」
「100年前に夏目漱石が『こゝろ』(こころ)を発表したころに大切な講演をしています。講演の中でこういっています。英国人は不平不満があり危ないと感じると、よく示威運動する人たちだと。漱石はデモンストレーションを示威運動と訳した初めての人です。日本で示威運動が流行らなかったのは、長い間デモがない社会だったからです」
「67年前に新しい憲法をつくりました。私の人生は、新憲法という『時代の精神』の中で行われたのです。戦争をしない、民主主義を守るという根本の精神が私が生きた時代の精神です。ところが、いま政府は私たちが67年間守ってきたその時代の精神という憲法を民主主義的手法でなく、ぶっ壊してしまおうとしているのです」
「保守的な政治家が守り抜いてきたものをぶち壊して、新しい体制に入ろうとしているのです。いま日本人の時代の精神(=憲法)が最も危ないところにきている。この時代の精神を守るには、示威運動=デモンストレーション、声を大きくするしかありません。最も難しい仕事がこのデモから始まるのです」
伊藤真弁護士(日本弁護士連合会憲法委員会)
「日弁連は集団的自衛権の行使を容認することは絶対に許さない。解釈の変更であろうと、法律の制定であろうと、今の憲法の元で認めることは、立憲主義に反します。憲法の恒久平和主義に反します」
「立憲主義を無にするような解釈がまかり通れば、一人一人を大切にし、個人を尊重し人権を大切にするという価値観まで否定されることになる。強く反対します」
「私見ですが、平和国家としての日本の最高のブランド価値は憲法9条にあると思っています。このブランド価値をたかが政府の解釈の変更で許してしまってはいけません。限定的な集団的自衛権の行使はまやかしにすぎません。
戦争の加害者にも被害者にもならない決意でこの憲法を制定したのです。政府に戦争させないために憲法があり立憲主義があるのです。この暴走を止めるのは市民の力です。私たちにはその責任があるのです。使命があるのです。憲法は私たちに主体的に生きる覚悟があるのかを突きつけている」
この日、最も光り輝いた埼玉県から参加した男性。首から前と後ろにかけた「輝く憲法九条」がネオンのように点滅する。
デモ行進は銀座方面と国会請願デモの二方向に分かれて実施された。会場の外では、仕事帰りの若い世代も合流した。
4月8日、憲法改正に向けた布石の国民投票法改正案が自民、公明、民主など与野党七党により共同提出された。国民投票の年齢を20歳から18歳に引き下げる案だ。
「選挙権年齢や民法の成人年齢を、国民投票年齢に合わせて「十八歳以上」に引き下げることについては依然、結論が出ていない」と、東京新聞は社説で、憲法改正の是非を問わずに改正に前のめりの姿勢を批判(4月9日)。
◯取材後記と資料
安倍首相は2012年の総選挙で復権後、憲法改正のハードルが高いと見て、1年前から路線転換。憲法解釈を変更することで憲法9条の縛りを有名無実にするための手を打ってきた。NSC法案、特定秘密保護法案は、集団的自衛権解釈変更の前段として欠かせない法律だった。秘密保護法に反対した野党議員はそのことを見越して反対を叫んでいた。
「68年間沖縄で生きてきたので直感でわかる。沖縄の人はみんな見抜いている。この法律は日米軍事一体化、憲法解釈を変え集団的自衛権の行使、実質的な9条の改憲です」(2013年11月、照屋寛徳社民党議員の秘密保護法に反対するスピーチから)
安倍政権が成立を目指す「国家安全保障基本法」は集団的自衛権行使の法的裏づけとされる。
自民党の基本法案第10条 (国際連合憲章に定められた自衛権の行使)と第11条 (国際連合憲章上定められた安全保障措置等への参加)は、「積極的平和主義」の美名で自衛隊が海外で集団的自衛権を行使することを認める条項だ。自衛隊の海外派兵は際限なく可能となり、憲法9条はあっても意味のないものとなり死文化する。
憲法を越えた判断をその時の政府が国民の代表である国会さえも無視してやることは、民主主義の否定。フィリピンやビルマやインドネシアなど、かつての独裁政権が長く続いた東南アジアなどの政治手法と変わらない。民主主義の化粧を身に付けたファシズムの世界だ。民意を無視したエネルギー基本計画、原発推進、原発再稼動、原発輸出に独裁政権と同じメンタリティーを見る。
(4月11日追記:11日午前、安倍自公政権は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働を進める方針を明記したエネルギー基本計画を閣議決定した。)
反省もなく、安全神話を振りまいてきた政治責任を取ることもなく、原発を推進してゆく姿は、東京大空襲後も、国土防衛はお手上げにもかかわらず、原爆投下されるまで5ヶ月も無謀な戦争をつづけ、日本を焦土と化した軍国主義の指導者そのものではないか。そこには本当の道徳心も愛国心もないのだ。
By Any Reason War Is Unnecessary」(どんな理由でも戦争はダメ)
・朝日新聞の最近の全国郵送世論調査によると、集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が昨年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回った。
憲法9条を「変えない方がよい」も昨年の52%から64%に増え、「変える方がよい」29%との差を広げた。武器輸出の拡大に反対が71%→77%、非核三原則を「維持すべきだ」も77%→82%。自衛隊の国防軍化に反対も62%→68%と増えた。(一年前と調査結果を比較した4月6日の記事から引用)
◯取材活動支援のお願い
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