宇都宮さんと細川さんの二人をまとめて都庁に送り込めないか!?(2月14日 結果追記)
(写真はクリックすると拡大します)
2月7日 官邸前にて、ワンツーフィニッシュを望む投票権のない常連さんのプラカード。
選挙戦は最終日。一本化はできなかった。その憂鬱さもさることながら、原発問題に無関心をよそおう有権者と、脱原発は争点にしたくない一部大手メディアの大きな障壁を崩すことができなかったのではないだろうか。
では、脱原発を望み再稼働を何としても止めさせたいと願う有権者は、誰に投票すれば良いのだろうか。もちろん、原発推進派の舛添候補と田母神候補は論外である。宇都宮けんじ候補と細川もりひろ候補の両陣営は、安倍自公政権の暴走を止め、東京から国政を変えることを強く訴えた。
原発事故が未収束のまま、原発を基幹エネルギー源と位置づけようとする安倍自公政権与党が応援する舛添候補の票や、石原猪瀬都政14年を容認してきた保守層や無党派層の票を勝ち取ることができることを願いつつ、主観的に取材してきた二人の写真を選んでみた。
(宇都宮さんの写真は選挙告示日の1月23日前からのものも含めている)
宇都宮さんの人となりは40年以上の人権派弁護士としての実績で証明されている。困っている人のために活動する宇都宮さんほどの人格者はいないだろう。
代々木の「せんきょCAMP」で宇都宮さんの若者に向けたメッセージ。
「若い人が置かれている状況は永遠に続くものではない。だんだん変わってきている。必ず変えることができる。ただ人任せではダメです。若い人が声を上げるようになれば必ず世の中変えることができます。そのためにも選挙に行きましょう」
宇都宮さんの強みは、前回の都知事選に出た際の政策をさらにバージョンアップしたものとし、多岐にわたる分野のテーマの細部までを本人が把握し、演説でスラスラと話すことができる点だ。
要約すると、経済優先や効率優先の時代に取り残された社会的弱者の視点に立ち、「1%のための都政から、99%のための都政に変えてゆく」ことを公約に掲げているということだ.。
東京都の有権者が脱原発だけでは関心を示さないだろうと読んでの、雇用、少子高齢化対策、福祉などと同列に原発再稼働に反対する政策を掲げたのだろう。宇都宮さんほど都政の実務を任せたら、都庁職員や都議会にとって手ごわい人はいないだろう。
(ちなみに、宇都宮さんの告示から2週間前のキックオフ集会についてはこちらを参照してください→「宇都宮けんじとともに東京都を変えていくキックオフ集会」は希望を感じさせてくれた!)
◯選挙後追加写真(2月14日追加3枚)
2月8日最終日の新宿アルタ前。午後6時。吹雪く大都会の街宣となったが若者の熱気は変わらなかった。
新宿駅西口小田急ハルク前の宇都宮候補の選挙戦最後の街頭演説会。熱い支援者とボランティアはハイテンションな熱気に包まれた。
代々木の「せんきょCAMP 野外フェス」に登壇した細川もりひろさん。
「秘密保護法でも、憲法の話でも、NHK人事でも何でもおかしいじゃないかと思ってますよ。安倍さんの奥さんの方がよほどまともなことを言っている」
「政府は原発を基幹エネルギーと位置づけようとしている。原発を再稼働する。冗談ではない。垂れ流しが続き被害者が苦しんでいる。とんでもない話だ。これは今立ち上がって政府に異議を申立てなければいけない。世の中の不条理、おかしいと思うことと闘わなければならない」
細川候補の強みは、「原発即ゼロでいい」という国民運動を盛り上げようとする自民党の小泉元首相がかつぎあげ、積極的に脱原発の意思をしめさなかった保守層や無党派層に強烈なアピールができる影響力が期待された点だ。各地での街頭演説に集まる聴衆の半端ではない多さはそれを裏付けていた。
同時に、直前まで出馬準備をまったくしていなかったことが弱みだった。10数年、政治の世界とは離れ、とりわけ都政とは縁遠く、細部を把握するのはこれからというのが弱みといえる。多分野での協力なブレーンが欠かせない。
安倍政権の暴走をここで何としても食い止めることを念頭に、宇都宮候補の前回の都知事選の結果を踏まえ勝てないと読んだ鎌田慧さん、広瀬隆さん、澤地久枝さん、瀬戸内寂聴さんらが、こぞって細川候補の応援に回る決断をした意味も重かった。
誰もが原発に長年反対してきた。それだけではない。小泉元首相や自民党政権の政治に反対し、戦争に反対し、改憲に反対し、沖縄の米軍基地に反対する活動を続けてきた著名人だ。そこの熟慮を想像してみたらどうだろうか。細川応援団に吉永小百合、倉本聰、藤原新也さんら、著名な文化人があえて名乗り出たことも大きい。
2月2日 有楽町にて 応援演説をする桜井南相馬市長。東海第2原発の再稼働に反対し続けてきた村上達也元東海村村長と浜岡原発に近い湖西市の三上市長も応援演説に立った。
同 新橋SL広場前 復興支援「森の長城プロジェクト」活動に感謝する横断幕
「福島は徹底的に痛めつけられたのです。山手線管内の二倍の地域がいまだに立入禁止となっている。東京は核のゴミも地方に押しつけ、大消費地として便利さを、良いところだけを受け取ってきました。自分だけ良い思いをして、嫌なところは全部地方に押しつけてきた。それはないでしょう」
「これは夢ではなく、現実に私たちが手にすることのできる壮大で歴史的な事業です。戦後の価値観を変える試みです。お力を貸してください」
◯選挙後追加写真(2月14日追加3枚)
最終日の最後の街頭演説となった新宿アルタ前。吹雪をものともしない支持者が取り囲んだ。
降りしきる雪で顔を濡らしながら、演説を最後まで聞いている若者。
◯思い出してほしいための蛇足
原発から4㌔にある福島県大熊町双葉病院。この病院では、避難の遅れにより、高齢者の患者が50人亡くなった。2011年12月撮影
福島県浪江町。餓死して路上に横たわる子猫。2011年4月撮影
原発から40㌔以上離れた福島県飯舘村草野小学校。プールの徐染活動。2012年2月撮影。飯舘村は全村避難となった。
原発事故の教訓は、災害に強い都市を造ることはできても、放射能に対して強い都市はできないということだ。
どんなに立派な病院や学校でも、繁栄する街でも、政策が住民に寄り添っていたとしても、原発が再稼働され、原発事故が起きてしまえば、絵に描いた餅に等しくなってしまうということではないのだろうか。
だからこそ、都民は原発のない東京都政を全国に発信していくチャンスと義務があるといえる。そこからでしか、安倍自公政権の暴走政治に痛撃を与え、立ち止まらせることはできない。両陣営の小異は残し大同団結した力があれば都政から国政を変えることはできるはずだ。
全人口の10分の1を抱える東京都。目の前の弱者を助けようとするリーダーと、子どもや孫の代まで原発事故の恐怖と核のゴミをおしつけまいとし、経済優先から舵を切る発想の転換を促すリーダーの両方が必要なのだ。
2月7日 国会正門前。明かりのない場所で、一人熱く「原発いらない」を叫ぶ女性。
◯選挙結果(2月14日追記)
・投票率は46.14%
1:舛添 要一 2112979
2:宇都宮 けんじ 982594
3:細川 護熙 956063
4:田母神 俊雄 610865
家入 かずま 88936
ドクター・中松 64774
マック 赤坂 15070
鈴木 たつお 12684
実に残念な結果となった。投票率があまりにも低すぎた。
原発推進派の舛添氏と田母神氏を合わせて272万票。
原発再稼働反対陣営の宇都宮氏と細川氏を合わせて193万票。
その差は79万票。勝利するにはかなり大きな票差であり、
都民有権者の原発事故に対する当事者意識の薄さを色濃く反映し、
大手メディアが脱原発の争点はずしに半ば成功した結果でもある。。
さらに、20代、30代の有権者が、原発事故の影響を軽んじ、軍国主義的な考えの
田母神氏に投票したという事実は深刻だ。誤った歴史認識の持ち主で、
隣国の中国や韓国、北朝鮮との外交関係を損ない、国益を損なう
安倍晋三(首相)の支持率が、50%をこえている大きな要因ではないだろうか。
恐ろしい時代に突入し、下り坂を一気にころげ落ちるようだ。
(希望的観測のないまとめで申し訳ないが)
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コメント
「災害に強い都市を造れたとしても、放射能に強い都市は造ることは出来ない。」この言葉に同感ですし、このことをもっと今回の都知事選挙で争点にすべきでした。
なぜなら(原発の事故ではっきりしましたが)放射能は浴びても痛くもない・かゆくもない・においもない・色もない…生物の細胞を破壊していく。そしてそこが生物の住めない土地になる。しかも何万年もそのことが続くという科学的な認識を持てば明らかです。
この当たり前の認識を、(電力会社を中心にした)経済界の策略により、日本国民がオブラートをかぶせられている状況下にあるような気がします。
日本は、適度に河川があり、小回りの効く小水力発電がもっとたくさん建設可能です。発電後の水質は変わりません。(海の水を7℃も上昇させ、放射能で汚染する原発とは違います)独占的な電力行政の詐欺に日本人がしっかり気がつくことを願ってやみません。
投稿: 森泉 | 2014年2月10日 (月) 00:52