最近の民意を発信する〈秘密保護法案反対と脱(反)原発〉
(写真はクリックすると拡大します)
「『ねじれ』は民意を救い上げるための、完ぺきとはいえないまでも、大事な器だった。集団的自衛権、改憲、TPP、沖縄・・・・・・・。失望、落胆することばかりが、私たちの目の前で揃い踏みしている。それでも、わたしは持続する怒りを温め、丁寧に暮らしていきたい」。
落合恵子さんが東京新聞夕刊の自伝的連載でこう記している(11月2日)。
落合さんに見習って、私も影響力があってもなくても、Twitterやブログで、取材した民意をあきらめずに発信していきたい。
というわけで、写真展準備と9日間の写真展で動けずにいたので、終了後に取材した特定秘密保護法案反対パレードと脱(反)原発パレードなどをまとめてブログで発信しよう。例によって写真が中心だが。
・ちなみに、安倍政権は、大型台風が再び伊豆大島と関東圏に再接近している最中、25日に「特定秘密保護法案」を閣議決定した。憲法で保証された国民の「知る権利」を侵害する恐れがあるために、弁護士会も憲法学者もメディアも強く反対していることなどお構いなくだ。
「法案によると、(1)防衛(2)外交(3)スパイ活動の防止(4)テロ活動の防止-の四分野のうち「国の安全保障に著しい支障のある情報」を行政機関の長が特定秘密に指定する」。罰則は最高懲役10年。(東京新聞10月25日夕刊Web版)
◯「秘密保護法案と立憲主義否定の国づくりに反対する10.29集会」(日比谷野外音楽堂集会→経産省前→国会議事堂脇→官邸前→国会議事堂裏門)
・主催は平和フォーラムで、自治労・日教組など様々な労組が中心で、平日の夜にも関わらず約2800人が集まった集会。一般市民の若い参加者も目立った。
「秘密保護法案 私は!NO!」。手作りのプラカードを手に参加した大木晴子さん。
>「為政者にとやかく言われる筋合いはない」「秘密保全法は治安維持法」
>「秘密保護法=戦争への一歩」
経産省テントひろば前。反原発の横断幕と秘密保護法反対の横断幕が並んだ。
・ちなみに、24日の参院予算委員会で、安倍首相は、特定秘密保護法案について、「政権交代によって新しい大臣が誕生すれば、特定秘密の指定状況を確認し、改めて適否を判断することもあり得る」と答弁した。簡単に言えば、政権交代で大臣が変われば、秘密だっとものが秘密ではなくなり、秘密ではなかったものが、秘密に指定される可能性があると答弁しているに等しい。要するに、首相や閣僚や警察、公安トップによって、恣意的に運用される可能性がありますよと自ら認めている答弁だ。
憲法をこえた判断を首相らはいつからできるようになったのだろうか?
国会記者会館前で、「報道しろ~!」と繰り返しコールする参加者。
社民党と民主党の議員の面々。衆議院・議員面会所では超党派の議員らが、参加者を出迎えた。
・「共同通信社が二十六、二十七両日に実施した全国電話世論調査によると、政府が今国会に提出した特定秘密保護法案に反対が50・6%と半数を超えた。賛成は35・9%だった。慎重審議を求める意見は82・7%を占め、今国会で成立させるべきだとする12・9%を上回った。
東京電力福島第一原発の汚染水漏れに関し「全体として状況はコントロールされている」との安倍晋三首相の説明を「信頼できない」とした人は83・8%で「信頼できる」は11・7%だった」(10月28日東京新聞Web)
・ちなみに、秘密保護法案は米政府の強い意向で安倍政権が慌ただしく成立させようとしている。この法案に隠されているのが、米国家安全保障局(NSA)の日本版となる、NSC(国家安全保障会議)設置問題。外交と安全保障の分野での首相官邸の司令塔機能を強化するためというが、秘密保護法とセットで設置法案審議が始まった。
米NSAは、ドイツのメルケル首相などの携帯電話を長年盗聴してきたペンタゴン(国防総省)の諜報組織。安倍首相が改憲後に自衛隊を国防軍としてから、日本版NSCは国防軍の諜報組織と一体となることを今から想定するほうが現実的だと思う。
◯「脱原発スーツデモin新橋~もう黙っちゃいられん!俺たちサラリーマンも怒ってるんだ!」(10月30日)
(新橋烏盛森口・桜田公園→外堀通り→日比谷通り→東電本店前→新橋日比谷口前)
初めての試みで、官邸前の常連さんが主催し、twitterやホームページなどで呼びかけたら参加者は何と550人~600人。報道陣の数も多かった。
集合時間よりも早くに勢ぞろいした参加者。気合が入っている。桜田公園。
脱原発アピール度を競う大会の入場行進のようにも見える整然としたパレード。
お母さんと走る未来のソウリ。総理大臣になったら全部の原発を止めたいと語る9歳。革靴がなかったそうだ。
29日、安倍(晋三)首相は、5月に原発をトップセールスしたトルコに国会会期中にも関わらず出かけ、三菱重工業、伊藤忠商事などの企業連合体による原発建設受注を現地で喜んでいる。新聞で報道される安倍首相のコメントはこうだ。
「福島第1原発の経験と教訓を世界で共有することにより、世界の原子力安全の向上を図っていくことは我が国の責務」「トルコなどの原子力協力を求める国に制度整備や人材育成の支援を通じ、安全確保を促す」
・小泉純一郎元首相が、安倍政権、自民党の政策に反した、「原発はゼロで良い」と各地の講演で熱弁をふるっていることが話題になっている。脱原発を求める野党は歓迎している。小泉元首相と社民党の新しい顔、吉田忠智党首と脱原発をめぐり会談したのは29日だった。両者は「原発ゼロ」で一致したと報道された。
平日の水曜日の夜。仕事帰りのみなさんだが、それにしてもよく集まったものだ。
・参加者の声次第では第二回も開催される可能性は高そうだ。
◯原発作業員ハッピーさんの著書「福島第一原発収束作業日記」(河出書房新社)
原発事故直後からの収束作業に従事し、匿名で現場情報をTwitterで発信してきたハッピーさん(@Happy11311)。7万人をこえるフォロアーを持つハッピーさんのつぶやきが本になったのがこれだ。
ハッピーさんは、原発労働者の収入も身分も健康管理も全く保証のないままでは、原発作業員は確保できず、40年での廃炉はできないと断言。「1F廃炉法」のような時限立法で、東電から収束廃炉作業を切り離し、新たな組織でコストを度外視した収束作業にしなければどうにもならないことを現場から指摘している。超オススメ本だ。
◯第77回金曜日官邸前脱(反)原発抗議行動(11月1日)
・官邸前の参加者の熱気はあまり変わりがないが、特定秘密保護法が急浮上してからというものの、戦前の治安維持法を想起させる政府自民党案に絶対反対の意思を表示しようとする参加者が急増した。3・11後、東電や政府のウソを経験し、1F(福島第一)の汚染水問題や収束関連情報、今後に起こりうる原発事故の情報さえも隠される可能性が高いと誰もが感じ、危機感を持っているからだろう。。
大阪から上京して官邸前抗議に参加した目の不自由な30代女性。付添いの方もご一緒。参加5回目だそうで、季節によって衣装を変えるのが楽しみとのこと。
海老名市からの常連の脱原発おばさん。秘密保護法も出てきて体がいくつあっても足りないと、プラカードが増え、駆け付けないといけないイベントが増えたことをこぼす。
山本太郎さんのサポーター。「秘密保護法に反対しよう」のプラカードでアピール。
この参加者のプラカードが、原発問題に限らず、安倍政権下での政治状況が、民意を封殺する戦前の時代に戻りつつある危険性があると、有権者が嗅ぎ取っていることを象徴している。
「原発データも隠してデナイ 秘密保護法いよいよ登場 私も監視逮捕投獄か コワーイ アベノ空気は戦前模様!」
◯追加情報
・米紙ニューヨーク・タイムズ傘下の国際英字紙「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」
《29日付(電子版)の社説で、安倍政権が今国会での成立を目指す特定秘密保護法案について「国民の知る権利をむしばむ秘密保護法」などと批判した。社説の題名は「反自由主義的な秘密保護法」。同法案が定める「特定秘密」の指定について運用指針がないことを問題視し、「定義づけがあいまいなことで、政府が都合の悪い情報をいくらでも特定秘密に指定できる」と恣意(しい)的な運用への懸念を示した。
「ジャーナリストを最高5年の懲役刑で脅すことにより、政府の不透明さが一層増すだろう」などと批判した。》(毎日新聞10月31日web版)
・秘密保護法案に憲法や刑事法研究者らが28日に反対声明を発表している。
憲法・メディア法研究者による声明には142名、刑事法研究者の声明は123名、合わせて265名が特定秘密保護法案に反対声明を出した。
「法案の問題点として、特定秘密を第三者の点検を受けず政府の判断で指定し、漏えいや取得に厳罰を科して、調査活動をする市民や記者も罪に問われる点を挙げた。その上で「国民の『知る権利』を侵害し憲法の国民主権の基盤を失わせ、憲法に基づいて国民が精査すべき平和主義に反している」(東京新聞10月29日の記事はこちら→→「秘密保護法案 265人反対 憲法の3原則侵害」)
OurPlanetTVで記者会見の模様が視聴できる。「秘密保護法案「現代の治安維持法だ」~学者ら反対声明」
・日弁連(日本弁護士連合会)の反対声明と、秘密保護法案の大きな問題点の解説(←←クリックしてください)
・ハッピーさんのつぶやきは、JVJAが2011年2月から編集発行するオンラインPDFマガジン「fotgazet vol.07」(2013年4月発行)で、 「原発作業員 ハッピーさんのTwitter録 @happy11311」として、いち早く報道した。もちろん、ご本人の承諾を得て、JVJAが独自に膨大なつぶやきの中から選び、写真を付けて編集したものだ。
(重要)事故直後からTwitterで事故現場の情報を匿名でつぶやき始めたハッピーさんの情報は、実はもし秘密保護法案が国会を通って法律となってしまったら、ほぼ間違いなくつぶやくことはできない内容に満ちている。
当事者の東電本店や大手マスコミさえも知る機会のなかった原発事故現場の情報の一旦は、まぎれもなく政府にとっては不都合な真実だ。
秘密保護法案などというものが社会をおおい始めたら、ハッピーさんはこれまのように、自由に、また自分の身分を明かさない程度につぶやき、より正確な情報を手に入れて家族を守ろうとやっきとなってきた市民の知る権利に貢献することは不可能となるだろう。
それだけでなく、ハッピーさんは、投獄されるかもしれないし、ハッピーさんのTwitterを出版するなどという出版社は、怖くなって自己規制することだろう。
それほど表現の自由を奪う可能性のある恐ろしい法律案が「特定秘密保護法案」なのだ。
購入はこちらから(600円/ダウンロード販売のみ)fotgazetのホームページhttp://www.fotgazet.com/
◯蛇足
要するに、1:原発問題に特化した活動を継続することで、民意を発信し続ける場を官邸前に確保することの重要さ。
同時に、2:秘密保護法、集団的自衛権、TPP、消費税増税、被災地の復興、米軍基地問題、教科書問題、憲法改悪など全ての分野で、安倍政権復活による戦後生まれの議員が多数を占める自民党が、まるで軍人が政治経済、外交、全ての実権を握り、天皇制の下でアジアの中の独立国として歩む道を大きく踏み外した戦前戦中の時代に後戻りしようとしていることに気づく必要がある。
戦争体験者の聞き取りをし、戦前戦中の教育や情報統制を知れば知るほど、戦後生まれの私にも戦中派の危惧が実感として嗅ぎ取れるからだ。
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コメント
特定秘密保護法は国民の基本的人権を不当に侵害する
パブリックコメントの8割が法案に反対
法案に反対する意見が多くよせられている
国会を骨抜きにする
参加した議員が誰かに伝えれば漏えい罪で罰せられる
投稿: 声 | 2013年11月 3日 (日) 18:32