写真で見る最近の脱原発取材三日分(安倍首相と小泉元首相も登場か???)
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今年の二月からは、新刊写真集「戦後はまだ・・・刻まれた加害と被害の記憶」(彩流社)の出版まで、脱原発・反原発に関する取材の機会は減らさざるをえなかった。大震災・原発事故から2周年前後の原発周辺取材を終えてからは、ブログ記事の更新も一気に減ってしまった。乗り遅れた分を取り戻すべく、この一週間の取材をまとめてブログで紹介したい。
◎東電本店前緊急抗議(8月28日)
東電による高線量汚染水の垂れ流しに抗議し、平日の夕方6時半からの緊急抗議にも関わらず200~300人が参加。反原連の呼びかけのためか、若者の参加者が目立つ。
◎経産省前テント広場~官邸前~新橋SL広場(8月30日)
小出博章京大原子炉実験所助教と木村結さん(東電株主訴訟で経営者責任を追及)
小出先生と記念写真を撮る、官邸前抗議常連の双葉町からの原発難民のおばさん。自宅は原発から2㎞。
小出先生もタンバリンを手に音楽隊の輪に参加し、楽しそうに汗を流していた。
楽隊に参加して汗をかいた小出先生。「疲れませんか」と聞くと、「快感です!」との返答が返ってきた。。
◯新橋SL広場:
二人の原発難民の女性が、昨年12月の衆議院選挙直前から始めた原発事故の風化を食い止めようとするアピール行動。
一人は原発から7㌔の大熊町に自宅のある木幡ますみさん(小柄)。一人は原発から8㌔の富岡町に自宅のある木田節子さん。木田さんは参議院選挙に緑の党から比例区で立候補したが落選。木田さんは、官邸前抗議行動の初期から参加し、原発事故によって故郷を失った福島県民と原発作業員の母親としての切ない気持ちを訴えてきた。毎回、自らプラカードを用意してアピールする姿は、木田さんの全ての原発を止めたい熱意の結晶でもある。
木幡ますみさん。
木幡さんによると、大熊町町長の土地では測量が開始され、中間貯蔵施設建設業者の宿泊施設が建てられるのではないかと噂されているという。渡辺町長は否定しているという。
木田さんがこの日の街頭スピーチのために用意したプラカードを注目してほしい。
「原発労働者の命も、イチエフ収束労働者の命も、除染従事者の命も、安倍(総理)の命と同じだよ!!!」
◎「さようなら原発講演会~つながろうフクシマ!くりかえすな原発震災~」(安倍首相と小泉元首相の物まね風刺も)~官邸前特別版(9月1日)
鎌田慧さん。(2000人をこす参加者で満席の日比谷公会堂)
「90年前、関東大震災の日には戒厳令が布かれていた。大杉栄は虐殺され井戸に放り込まれ、在日朝鮮人中国人が6000人虐殺されています。軍隊がり震災があり弾圧があってから戦争に向かってゆく恐ろしい時代から90年目だということです」
「安倍政権は外に向かって軍備を強め、内に向かって弾圧体制をつくろうとしています。戦後の民主主義を古い時代として一掃しようとしています。それに対する抵抗運動として脱原発運動は大きな力になっています。平和に暮らしていこうと命を守る運動です」
「もう一度脱原発運動の大きなうねりに向けてがんばっていきましょう。署名運動は850万です。フランスからも署名運動をもらってきました。国際的な連帯も深め、国内でもまだ運動に立ち上がっていない人たちとも手を合わせ運動を広めていきましょう」
ラテンの抵抗ソングなども演奏するジンタらムータ。
「今なお15万人をこす人々が故郷を追われ、家を追われ、生業を追われ、地域のコミュニティーを破壊され呻吟っする毎日を送っています。ある心理療法士の方が仮設を回りました。その仮設のほとんどの人が抑鬱状態だと判断されました。関連死は1400人をこえています。累々たる無念の死に対し、私たちは命をつなぐために何をすればいいのかが問われています」
「東電は2年4ヶ月も垂れ流しを認めなかった。ところが選挙で勝った途端に汚染水が垂れ流しだったと認めたのです。こうした実態をトリックを使い、この処理は海洋に放出するしか仕方がない、東電は当事者能力がない、国は責任は取れないと国民に刷り込んでいるのではないか。最初からの太平洋に高濃度汚染水を放出するための国と東電の出来レースをやってきたんですよ。こんな犯罪を許せますか」
「去年6月に超党派で子ども被災者支援法が成立しましたが、一年間塩漬けになり店晒しとされていた。私たちが要求したのは、1ミリシーベルト以上の地域は全国どこでも支援対象地域にするべきであるというものでした。ところが復興庁が公表した基本方針案は100ミリシーベルト安全論と一緒。20ミリシーベルト以下はいろいろ議論があるから決めず、避難区域を除く福島県の浜通りと中通りの33市町村を指定した、最初から差別と分断の基本方針だ。許せません。撤回あるのみです。会津地方も千葉県柏市も首都圏の地域も含まれていません」
「全員不起訴を狙っているという報道があります。これだけの事故を起こし、世界史上まれにみる公害犯罪を起こしておきながら誰一人として刑事罰を問えない、誰一人として責任が問えないとしたら、この国は法治国家でしょうか」
「これでも罪を問えないのですか!」(告訴団50人の陳述書)この告訴団のブックレットを手に広めてください。私たち被害者は絶対にあきらめません。諦めてなるものか」
大江健三郎さんが披露した井上ひさしさんのエピソード。
二人が講演後に泊まった旅館での色紙の話。二枚の色紙に井上さんだけに書いてもらいたいと旅館の館主。井上さんは二枚目を辞退し大江さんも色紙に書いた。
「井上さんは、難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことをおもしろく、と書き、私もがんばって、易しいことを難しく、深くもなくおもしろくもなく、ただ長いだけ、と書いた」。会場爆笑。
◯安倍晋三首相と小泉元首相の登場(ザ・ニュースペーパー)
安倍晋三首相
「原発、なぜ必要もないのに動かすのかってよくいわれるんですよね。私、外国に行ってセールスやってるでしょう。日本で原発動かしてないのは何故なんだと。まさか危険だからといえないでしょう。ある程度動いてないと商売やりにくいでしょ。なぜ外国に売る必要があるかっていうとですね、財界、政界、一部のマスコミ、官僚、ある研究者、こうした力のある人たちが住む原子力村という日本でいちばん強い自治体があるんです。いうことを聞かないといけないんです。私の力ではどうにもならないんですね。多少なりとも動かしたい」
「シリアは大変ですね。イギリスは下院議員がシリアの軍事介入否決しました。キャメロン首相がうらやましいですね。いいですね、野党が力があるって」
「自民党の独走ばかりです。野球でいうならば巨人かな。巨人のキャプテンは阿部慎之助。日本のキャプテン安倍晋三。阿部選手はキャッチャーですから捕手です。われわれは保守政党。阿部選手は去年二冠王。私は二度めの総理ですから。阿部選手の背番号は10番。消費税いづれは10%です。極めつけは阿部選手は右投げ左打ち。私は考えが右寄り、左団扇でございます」
「北朝鮮に対しては断固とした強い態度で、アメリカに対しては断固とした弱い態度で、中国と韓国に対しては断固としたあいまいな態度でのぞんでいきたいと思います」
小泉純一郎元首相
「小泉純一郎です。今日は何の集りか知らないが、おめでとう」(爆笑)。
「迷走する民主より、暴走する自民の方が良い。国民の答えなんだろうね」「自民党は相変わらず二世議員三世議員ばかりだと批判されているね。内の進次郎は問題ない。四世議員だから。そもそも世襲の何が問題なんですか。どこの馬の骨かわかんないやつが国会議員やるより、あそこの馬の骨とわかった方が安心でしょう」
「野田さんたいしたもんだったね。私は自民壊せなかったけど、あの人はあっさり民主党ぶっ壊したね。さすが首相である」
「安倍君かなり評価されてるね。6年前と今と全然違うといわれている。まったく成長してない。全く変わってない。前は私の後だから頼りなくみえて今回は民主党の後だから頼もしく見えるだけだ」
「アベノミクス期待されてるね、三本の矢。だけど専門家がね三本の矢は一本一本よく見ればすでに折れていると見ている。問題ないね。折れた矢を三本合わせれば六本になる」
「いま原発より大事なことがあるでしょう。もっとそっちを考えましょう。内の長男がドラマで主演やっているでしょう。そのドラマの視聴率がどんどん落ちている。いま原発よりテレビを見ることを大事にしましょう」
◯小出博章京大原子炉実験所助教=「福島のことは全てにつながっている」
小出助教はパワポを使ってわかりやすい講演。「放射性物質を無毒化する技術はない」
セシウムは広島原爆の168発分が1号機、2号機、3号機から大気中に放出された。実際には二倍か三倍が放出されたのではないかと小出さんは指摘。
青色の地域は現在の法律に照らせば、「放射線管理区域」に指定しなければいけないはずと小出先生。私のような人間が立ち入っても、水も飲んではいけないのが放射線管理区域。4万ベクレルをこえるものが持ち出してはいけないことになっている。
「日本の国は犯罪者だ。自分の国が決めた法律を反古にしてしまったのだから。これは犯罪じゃないんですか。この事故を起こした責任ある人たちを処罰しなければいけないと思います」。
「日本が原子力を始めた動機は核開発です」。小出先生は、1969年の外交政策大綱を紹介し、「核兵器製造の経済的技術的ポテンシャルは常に保持する」という文言があることを見せた。
「外務官僚が個人の見解として、核武装の選択を捨ててしまわない方がいいとまで言っている。プルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかなければならない。原子力の平和利用といいながら、どんどんプルトニウムを蓄積してきました。原爆を造ろうと思えば4000発の原爆を造れる量。日本はミサイルに転用できるロケット技術を開発してきたのです」
「日本は核兵器を造る技術をすでに持っているので、実質的には核兵器保有国になっている特殊な国です」
「いま原子力を選択することに何の決定権も持たない未来の子どもたちが、毒物だけをおしつけられる。未来犯罪とも呼ぶべきものです」「他の人たちを犠牲にする原子力的なものを棄てることが必要です」
53年前の日比谷公会堂の壇上で浅沼稲次郎が17歳の少年に暗殺されたシーン。
「日本の憲法は一国平和主義でもなんでもない。世界全体を平和にするために軍隊を否定すると言っている。何としても憲法を守る」
大本営のいうことを信じて国に騙された戦争を引き合いにし、「国が安全だといって、騙されたから無罪だというなら、また騙されてしまうでしょう。騙された責任があるのです」と、小出先生。
「未来の子どもたちから、福島の事故のあと、お前たちはどうやって生きたのかと問われる時がきます。原発の問題だけでなく憲法が危機に瀕しています。一人一人がどう生きたか未来の子どもたちから問われる時が来ます。その問いにきちっと答えられるように私は生きたい。たった一度しかない人生。歴史と事実を見つめて、再び騙されないようにする。自分の思いに忠実に生きてゆきたい」
呼びかけ人の澤地久枝さん。
「福島の事故が起きてからまず思ったのは私たちは棄民させられるということ」「日本の政治は常に棄民を繰り返してきた歴史」
「故郷はすでに殺されたと思う。ならば、まず原発を止めるべきです」
呼びかけ人の内橋克人さん。
「私は何とかミクスという言葉は使いません」と。「アメを先に、ムチは後にを使い分ける政治手法にまんまとしてやられた」「今新しい原発安全神話が作られようとしている。」
「晩発性のゆっくりした死、本当の被害は10年20年30年経って人間の身体を蝕むのです」と、警鐘を鳴らした。
呼びかけ人の落合恵子さん。
「ここにいれば心地良いです。同じ思いを抱いている私たちが頷き合うこんな簡単なことはありません」
「少年たち、少女たちは原発を一度も選んでいないんです。大人達は勝手に原発作っておいて残して先にバイバイ言うなんで、人間として何と無責任な、との少女たちの声にどう答えられるのか。ここにいない人にこそ私は声をあげ続けたい、ノックし続けたい、諦めないと自分に言いたい」
「まるで原発事故などなかったかのように社会の流れを変えようとしている政治の中に私たちは生きている、その恐ろしさを何度でも心に刻みましょう」
「東京オリンピック招致に使う費用をそのまま即時に福島収束に注ぎ込め」
「ときどきよれよれになってしまいますが、絶望だったらいつだってできる。いまは絶望しない。一ミリでも前に進む」「今もって安全神話を生きている人をノックする一人一人であることを大事にしたい」
大江健三郎さんと佐藤和良いわき市議(福島原発告訴団副団長)がガッチリ握手。
◯官邸前抗議特別版
講演会後、落合さん、鎌田さん、講演した小出先生、司会の木内みどりさんらは、官邸前抗議主催者の反原連のみなさん反原発を叫んだ。
「今はふくしまのこと、いつかは日本全体のことに、間に合うあなたが声をあげて」のプラカードを手にするのは富岡町の木田節子さん。安倍首相を引きずり降ろすことを誓う鎌田慧さん。
過剰警備1
過剰警備2
過剰警備3
「安倍晋三!日本人なら恥を知れ!」「原発を輸出するな!再稼働するな!」「放射能汚染 水漏れ大事故~~~全責任は安倍政権だ」
◎取材後記:さようなら原発講演会は大盛況だった。が、若者の姿はまばらだった。毎週金曜日の官邸前抗議も若者の姿が激減している。中高年の参加者がねばり強く脱原発運動を支えていることが手に取るように見える。
若者はどこへ行ったのか?
若者はどこへ行ったのか?
若者はどこへ行ったのか?
まだ諦める必要もないのに!
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