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2013年8月22日 (木)

小諸エコビレッジ祭:「生涯つきあえる ひととの出合い ものとの出合い」

(写真はクリックすると拡大します)

_8ds8339御代田町と小諸市の境に近い標高900mくらいからの浅間山の眺め。西に位置する小諸市に向かうに連れ、浅間山は真ん中の剣ヶ峰の影に隠れて見えにくくなる。エコビレッジ祭の会場は森の中なので浅間山の眺望はない。ということで、この写真でガマンしてもらいたい。

 「生涯つきあえる ひととの出合い ものとの出合い」とのメインタイトルで、小諸エコビレッジ祭が8月17日(土)18日(日)の二日間開催された。会場は標高1000m前後を走る長野県の浅間サンラインを少し上がった森の中。主催は社団法人・小諸エコビレッジ。小学校のグランドくらいの広い平地に大きな常設ゲル(直径は8m)を建て、持続可能な社会のモデルを提示するための拠点として活動する「こもろはす倶楽部」が主催したグランドでのイベントと、50mほど登った会場を使ったオーガニックコットンのアバンティ小諸が主催する「Bio マルシェ」がそれぞれの趣向で開いた祭だ。祭のPDFのチラシ

_8ds8341浅間サンラインからの入り口に立つ看板。

 こもろはす倶楽部のメンバーで、小諸に住み着いて35年になる陶芸家・岡本一道さんに誘われイベントに参加した。というよりも、連れ合いがトンボ玉のブースを出店するので、新刊写真集「戦後はまだ・・・刻まれた加害と被害の記憶」(彩流社)のPRのため、連れ合いの隣で、テーブルに写真集の見本を置いてPRした。実は昨年のエコビレッジ祭では、大震災と原発事故関連の写真展を常設ゲル内で展示していただいたこともあり、岡本さんとは10数年来の友人でもある。
_8ds8553小諸・天池窯」の岡本一道さん(60代なかば)。信州発の産直泥つきマガジン「たぁくらたぁ」の編集執筆も担当している。得意技は「右肩下がりの経済学」。ブースでは大小様々な陶器を展示販売。

 「グランドは100%自然エネルギー。やがてゴミとなる使い捨ての消費文明に代わるこれからの暮らしを提案します」とのモットーにあるように、農村と都会の人が交流する中で、使い捨ての豊かさに代わる、本当に環境にやさしい生き方や自然エネルギーを模索し、特技を持つ人と人とが横につながり、一つの拠点となることをゆるやかに狙ったイベントだったと感じた。電気は太陽光発電でまかなわれ、陶芸、木工、織物などの工芸品が多く、食べ物屋さんもちらほらあり、いつもライブ演奏がある空間だった。
_aaa5222ちなみに、太陽光発電の分野はNPO法人太陽光発電所ネットワーク」が運営していて、「第3回自然エネルギー学校 in エコビレッジ祭」が会期中に予定されていたのだが、日程の都合がつかないということで、8月24日と25日に開催が延期された。祭の会場で予定されていた一つが、「独立系太陽光発電キットの自作」だ。参加者を募集しているので、関心ある人は以下のWebで詳細をごらんください。駐車場に設置されたソーラーパネルでの発電量は13KWで、一般家庭の3件分に相当。自立運転方式で、今はまだ蓄電する形を取っていないとのこと。

_8ds8362モンゴルの家、ゲルは諏訪公司さんが制作。解体すると小型トラックの荷台にきれに収まる。諏訪さんは長野市の北の飯綱町に住む。

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_8ds8420アイリッシュ伝統音楽の屋外演奏。

_aaa5264上田市に工房がある、たけうちふみこさんの羊毛織物。


_aaa5249家具職人の半田光男さんは木工品を展示販売。

_8ds8527木工家具職人の高橋敦さんは割り箸の手作り教室を開催。


_aaa5283「こもろはす食堂」のメニューは800円のカレーセット。

_aaa5303食の地産地消に力を入れる中村正明さん。いづれは道の駅ではない、地元の野菜や果物を大規模に直売する拠点を建てたいと話していた。食の基本は地産地消でなければならないはずだ、というのが中村さんのモットー。また、中村さんは出店用の大小のテントも無償で提供していた。

_8ds8480浅間ケルト楽団によるアイリッシュ伝統音楽の演奏。

_8ds8503福島県郡山市出身で、東京では消防士として働いていたが、大震災直前に小諸市に移住した小宅春樹さん(31歳)。高校では吹奏楽をやっていたという。小諸市内の借家を「招福亭」と命名し、原発事故被災者を受け入れる場としても活用している。

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_8ds8499フィドルを弾く岡本一道さん。

_8ds8591祭のフィナーレに近くなると、参加者の踊りの輪が一気に広がった。

_8ds8541飛び入り参加した女性はクリスタルボールを演奏。

_8ds8398千葉県から来た小谷中清さんの、叩いて延ばした鉄作品。

_8ds8465千葉県我孫子市から参加した書家の河村詩夕(しせき)さん。
_8ds8460参加費一回500円。巨大筆で書く参加者。

_8ds8530漆塗りの作品を出す御代田町の沢田勝彦さん。

_aaa5275太陽光を集光してお湯をわかす器具で鉄瓶のお湯の野立に使う花岡隆さん。夏の太陽光で鉄瓶のお湯は30分で沸くという。花岡さんは「ころもはす倶楽部代表」を務める。本職は小諸市内、菱野温泉の旅館の社長さんであり、茶人でもある。

_8ds8379「こもろはす食堂」の脇では、小諸に移住した人を対象にしたアンケートをとっていた。黄色いTシャツの青年が小宅さん。小宅さんによると、二日間で、都会から4組の移住希望者が見学に来たという。

_8ds8367連れ合いが出店したトンボ玉アクセサリーのテント。

_8ds8357和製インディアンのティピ。製作者は日橋深雪さん。

_aaa5285アイヌのイナウを立てて踊る若者たち。
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小貫雅男先生の講演会(常設ゲル内部で) 仮題は「田舎への移住について、農的暮らしを学ぼう!」

 17日の夜、常設ゲルで小貫雅男先生の講演かあった。小貫先生は1935年、中国東北(旧満州)、内モンゴル・鄭家屯生まれ。滋賀県立大学名誉教授で里山研究庵Nomad主宰する。専門はモンゴル近現代史、遊牧地域論、地域未来学。映像作品に、モンゴルの村に一年間住んで記録撮影したドキュメンタリー映画、 『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』三部作・全6巻(共同制作、大日、1998年)がある。最新刊に「グローバル市場原理に抗する 静かなるレボリューション  ―自然循環型共生社会への道―」(御茶の水書房がある。

_aaa5234直径8mの広々としたゲルを会場に開かれた小貫雅男先生の講演会。ちなみに、ゲルは約17坪の広さがあり、50人弱が入ることができる。モンゴルのゲルにはない窓がつけられていて換気もいい。夜の照明はゲル専用のソーラーパネルで蓄電された電力を使い、消費電力4WのLEDが最大8灯で十二分に明るい。

_8ds8448小貫先生は78歳。

 小貫先生の講演内容をかいつまんで報告することは、正直いって今の私には難しいので、最新刊の「静かなるレボルーション」の宣伝コピーを以下に引用したい。小貫メッセージのキーワードのようなものだ:

 「21世紀 人々は、大地への回帰と人間復活の 
 高度自然社会への壮大な道を歩み始める。
 週休五日制の「菜園家族」型ワークシェアリングのもと
 家族を、そして地域を基盤に築く
 市場原理に抗する免疫的自律世界
 大地に根ざした精神性豊かな生活世界の創造」

 以下は「暮らしの足もとから未来への芽を育む」と見出しされた本の要旨:
「かつて人々は、現実社会の自らの生産と生活の足もとから未来へつながる小さな芽を慈しみ、一つ一つ育み、しかも自らのためには多くを望まず、ただひたすらその小さな可能性を社会の底から忍耐強く静かに積み上げてきた。人間は、このこと自体に生きがいと喜びを感じてきたのである。本来これこそが、生きるということではなかったのか。
 大地に生きる人間のこの素朴で楽天主義とも思える明るさの中に、明日への希望が見えてくる。これはまさに「静かなるレボリューション」の真髄にほかならない」

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 以下は、講演の聞き取り。
「静かなレボルーションとは何かというと、コツコツとできるところからゆっくりと積み上げるという長い道のりが必要」。「菜園家族とは、自分の足元に職場を作ることと同じ」。

「お金がなかったら生きてゆけない時代になっている。家族の中で間に合っていた育児、教育、大工仕事、介護もすべて放棄してお金で全部買うことになってしまった。市場はお金で買う場。自分自身が本来持っていた機能を失ったために回復するには週5日働いていたら機能回復しないから、週に三日、四日と家にいる時間を多くして菜園をやる。要するに自給する能力を増やしてゆく。自己の免疫力を高めるとは、自分の自給自足度を高めることを意味する。市場という病気が邪魔しようとしても平気になる」

「人間には自然治癒力が備わっている。自然治癒力を整えてゆくことが、社会においても家族が自給自足度を高めてゆくことにつながる。自己の免疫力を高めた家族の集まる地域社会を形成してゆくことになる。一人一人の努力で免疫力を高めてゆくと、知らないうちに市場に対する抵抗力を高めることになる。免疫力をつけないと、自己の尊厳を守ることはできない時代だ」

「せめて孫の時代に苦労をかけないような状況を少しでも作ってゆくことが、我々に残された仕事かと思う」。

◯まとめにならないまとめ
 陶芸家の岡本さんたちが本業の腕を磨き、「ころもはす倶楽部」や「小諸エコビレッジ」を通じて実践している生き方は、小貫先生が講演で話す「菜園家族」的な地域社会の理想像を先取りしているということだ、と思った。原発に依存しない、TPPにあたふたしない生き方を見せてくれている。


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