総選挙と都知事選:山本太郎さん、宇都宮けんじさんと脱原発政党
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12月16日に投開票が行われる衆議院総選挙の争点は「脱原発」だ。昨年から福島県を繰り返し取材し、警戒区域での取材もしてきた私からすれば当然のことなのだが、なぜそうなのか。
何よりも原発事故は収束していないし、避難民に対する賠償さえ手つかずに等しい。廃炉も経費も見通し立っていない。使用済み核燃料プールは数年で満杯となる。再処理で取り出されたプルトニウムを大量に保持する理由は核兵器開発をやりたいからにほかならない。
福島第一原発事故後に、原発と原爆は同義語だと認識できない大人の感性は尋常ではない。事故によってすでに国土の一部は失われたも同然なのだから。原発事故が再び起きてしまえば、経済だとか景気だとか安全な食品だと健康だとか旅行だとかを考える余裕など、金持ちでも貧乏人でも、誰彼構わず奪ってしまうことを、まず認識するほかはないだろう。地震や津波、火山の噴火などの大自然の営みを、私たちがコントロールできるとうぬぼれてはいけない。
◯「原発難民」
「私たちはモルモットではありません。家の裏で30マイクロシーベルトありました。国はそんなところを除染すれば帰れるといいます。そんなところに誰が帰れるでしょう」
「その国を汚した者が若者や子どもたちを考えずに改憲だの、原発必要などと言って恥ずかしくありませんか」
「美しい国を作ろうなんて人たちが、原発54基も作って、再稼動するなんて許せない!」
「原発が必要だとか、9条変えて国防軍作ろうとかの政党だけには絶対に入れないで!」
これらは原発事故により故郷を奪われ、自宅に帰ることもできなくなった富岡町の木田節子さんと大熊町の木幡ますみさんの二人が、誰に頼まれたのでもなく、12月10日の夕方、会社員が帰宅を急ぐ新橋駅前SL広場に立ち、厳しい寒さの中、2時間も「原発難民」となった避難民の心情を話したときのものだ。二人は政府が、メディアが、国民が福島のことや被災地のことを忘れてしまったのではないかという気持ちで、黙っていられなくなったのだ、
付け加えれば、東電幹部や山下俊一氏らを刑事告訴した福島原発告訴団(武藤類子団長)の河合弘之弁護士は言い切っている。
「脱原発よりも重要な政治的テーマは今の日本にはない。野田首相は後世の負担を残さないためには消費税を上げると言った。事故と使用済み核燃料の問題で後世にひどいツケを回す原発をそのままにして、消費税を上げて後世への負担を少なくするなど笑わせるな。まず原発を止めるべきです。脱原発を遂行し完遂するべきだ」
私は脱原発に本気の政党と候補者を応援する。
◯山本太郎さん12月8日、高円寺駅前
彼は自民党総裁選にも立候補した前幹事長の石原伸晃氏の選挙区にあえてなぐり込みをかけた。原発推進勢力の一角を崩し、50年にわたって原発を推進してきた責任を取らせたいからだ。
「地震国日本は地震の活動期。原発からの即時撤退以外に生き延びる道はありません」
12月14日、荻窪駅前
たくさんのボランティアの若者たちの支援を受けながら孤軍奮闘する山本太郎さんに、協力な応援弁士が駆けつけた。ジュリーで知られる沢田研二さんだ。荻窪駅前広場の立ち会い演説会場に現れた沢田さんは、壇上にあがってこういった。
「ただのジュリーです。正確に言うと、昔ジュリー、今ジジイです。でも、山本太郎のように、勇気のある38歳の若者が、ちゃんと打って出てくれました。(中略)今、選挙に出ている人はみんな「国難や」なんやと言っています。
原発を止める事自体が一番大事なことなんだ、それをやらない限りは、他の経済の事もいろんな事も何もかもが始まらないのだ。今日だって、地震が起こるかもしれないんですよ」
「もちろんここに集まって頂いた方は、山本太郎に1票を入れようと思ってくれていると思いますが、悩んでいる方もいらっしゃると思います。悩んでいる方はよーく考えて下さい。そしてやっぱり原発NO!や!!という、山本太郎に、1票を入れて下さい。お願いします」
12月14日、荻窪駅前
12月13日、阿佐ヶ谷駅前
12月10日。野田首相の選挙区、千葉4区で立候補した「日本未来の党」の三宅雪子候補の応援に出かけた山本太郎さん。船橋駅前。
12月13日、阿佐ヶ谷駅前。都知事選候補者の宇都宮けんじさんと。
◯宇都宮けんじ(健司)さん
宇都宮さんは「核兵器のシュミレーションをやったらいい」とかオリンピックを誘致しようとする石原都政への完全なる決別候補だ。日本の人口の10分の1を抱える首都東京から、「脱原発とエネルギーシフト」を率先して推進する公約を掲げる。東京電力の大株主として、福島の全原発の廃炉と柏崎刈羽原発の廃炉を株主提案すると公約している。石原都政がオリンピック誘致のために積み立てた4000億円は、被災地復興や7000人の待機児童をゼロにするために活用するとも公約している。
12月13日、表参道
11月27日、日比谷野外音楽堂の集会にて。
2011年9月6日。昨年の「さようなら原発全国集会」記者会見に、大江健三郎さん、落合恵子さんらと共に、呼びかけ人として出席した宇都宮健司さん(右端。当時は日本弁護士連合会会長)
12月13日、浜田山駅前にて。
浜田山駅前の書店にて。
冤罪事件として有名になった布川事件の強盗殺人犯として、無実の罪で30年間獄中にあった桜井昌司さんが応援弁士として話した。12月13日、表参道にて。
12月13日、阿佐ヶ谷駅前
12月14日、国会議事堂前で山本太郎さんと。
12月14日、首相官邸前で脱原発を求める参加者と握手。
官邸前でたすきを外した宇都宮さんは、マイクを握って「衆議院選で官邸の主は、脱原発を掲げる主に変わるべきです」と大きな声で叫んだ。そして、自ら「大飯を止めろ!」「大間も止めろ!」「原発なくせ!」「農業守れ」「漁業を守れ」「子どもを守れ」「自然を守ろう、命を守ろう!」とシュプレヒコールを上げた。
12月15日の【Nuclear Free Now 脱原発世界大行進2】脱原発デモ参加者。東電本社前にて。
◯日本未来の党12月14日。国会議事堂前にて。日本未来の党の小沢一郎さん。
「脱原発を主張する人が国会で多数を占めなければ、どうすることもできない。日本の将来を心配する皆さんの声を多くの人に伝えてほしい」
◯結論:「原発が争点」
脱原発に本気の個人や政党は、消費増税にも、TPPにも、憲法改正にも同時に反対している点も共通している。
上下二点ともに12月15日の【Nuclear Free Now 脱原発世界大行進2】脱原発デモ参加者。
「脱原発に一票を」
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