志賀原発(石川県)と周辺の風力発電とその景色
(写真はクリックすると拡大します)
掲載が遅れたが、10月末に取材で能登半島に出かけた際、北陸電力志賀原発とその周辺を回った。風力発電には理想的な風の通り道らしく、あちらこちらで巨大な風車を見かけた。滞在期間内で撮影できる範囲で撮ったものを紹介したい。
地元の北国新聞によると、北陸は出力10㌔ワット以上の風力発電設備が90基あり、73基が能登地方に集中するという。石川県74基、富山県4基、福井県12基。
ちなみに志賀原発は排気筒以外は撮影できるポイントがなかなか見つからなかった。代わりに北陸電力の原発宣伝のための「アリス館志賀」の展示内容をお見せしたい。
◯アリス館志賀と北陸電力志賀原子力発電所 志賀原発原子炉格納容器(1990年=平成2年6月)。1号機は54万kw、1993年運転開始。2号機は135万kw、2006年運転開始。日立製作所製原子炉。
◯能登半島地震(2007年3月25日、M6.9)による志賀原発への影響
石川県穴水町、輪島市、七尾市で最大震度6強を観測し、石川県、富山県、新潟県で震度5弱以上の揺れを観測した。死者:1人、負傷者:358人。全壊家屋:684棟、半壊家屋:1,732棟。輪島市だけでも約1600棟が全半壊する大きな被害を出した。原発立地の志賀町だけでも231軒が全半壊するほどのダメージの大きな地震だった。
計測震度の最大地点は輪島市門前町。曹洞宗総持寺祖院のあるのがこの門前町で、巨大な本堂は地震による被害が大きく、今でも修復作業中で本堂全体が工事現場のように覆われている。門前町は観光の名所のため、商店街に面した家屋は修復されて新しくなっているが、ところどころ歯が欠けたような空き地も目立った。輪島市の中心街でも同様だった。
震央から志賀原発まではたったの18km。幸運なことに志賀原発は二基ともに定期点検中だった。
「北陸電力は,発電所の建屋内を点検中に,1号炉の原子炉建屋4階で,使用済み燃料貯蔵プールの冷却水がプールの周囲にあふれ出しているのを発見したことをあきらかにした.あふれ出た量は,約45リットルで,その水に含まれている放射能は約750万ベクレルである,と評価している。(略)
また,志賀原発で観測された地震の揺れの大きさについては,つぎのように説明している.1号炉の地下2階の値は計測震度4.8で,加速度は239ガル(当初の226ガルを補正).2号炉の地下2階の値は,加速度が264ガル」(原子力情報資料室)
志賀原発のPR館の外観写真。見学無料。3階からの眺望がオススメ。原発の排気塔や原発に隣接する北陸電力の風力発電の風車群がわかりやすい。
アリス館から志賀原発方向を見る。手前の風車は高さ30mの研究用風車。
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志賀原発の北側からの光景。海沿いを走る幹線道路の国道36号線が海と原発敷地内の間を通る立地となっている。
原発関連施設の「花のミュージアム フローリイ」外観と二基の排気塔。志賀原発の南側からの眺め。
「花のミュージアム フローリイ」の遠景。
原発の敷地の隣に建つ4棟のハウス。一つの棟ではミニトマトが水耕栽培されていた。原発の温排水利用施設として建てられたようだが、温排水は利用されていないとのこと。
空っぽのハウス内部。志賀町と農協が協力して立ち上げたようだが、当ては外れれたのは間違いない。
◯北陸電力の福浦(ふくら)風力発電所(日本海発電株式会社)アリス館の展示。風力発電に力を入れていることもPR。
直径92mのローター。発電機は三菱重工製。全9基で出力21600kw。年間発電電力4100万kw。一般家庭の11000軒分。(建設した鹿島建設サイトより)
原発の北2㌔にある福浦港から見える巨大風車
福浦港。
福浦港。
◯北陸電力志賀太陽光発電所運転開始は2011年3月12日。総パネル数4815枚。規模1000kw。一般家庭約250軒分の年間使用電力量。(北陸電力の資料による)場所は志賀原発から東3㌔弱の能登中核工業団地内にある。
◯「あいの風酒見風力発電所」(石川県志賀町)と虫ヶ峰風力発電所(石川県七尾市)志賀町富来の海岸からの光景。あいの風酒見風力発電所は5基で出力9950kw。写真には1基だけの「酒見風力発電」も含まれるようだ。別会社だが、同じ地区に建つため。
虫ヶ峰風力発電所は志賀町の境に近い七尾市山中に10基ある。下の写真も同様。出力15000kw。2004年運転開始。
◯あわら北潟風力発電「あわら夢ぐるま」福井県あわら市にある10基(X 2000kw)の風車。出力20000kw。直径83m。日本製鋼所社製。2011年2月運転開始。北陸電力に売電。
近づくと巨大風車の巨大さが実感できる。
周囲は畑地。この風車は静かに聞こえた。
◯取材後記
メガソーラーは規模の割に風力発電ほど発電できないのか?メガソーラーと風力発電の効率が私にはまだよくわからない。ただ、北陸電力消費地では自然条件をできるだけ生かそうと、3・11の大震災・原発事故前から再生可能エネルギー利用に取り組んでいたことは確かだ。その点、関西電力ほど原発依存を見直す努力をしない電力会社はないのではないか。関電の原発11基すべてが三菱系という事実が何かを物語っているのではないだろうか。
◯追記(12月20日)
12月14日の共同通信配信記事に重要な事実を発見した。
「経済産業省は14日、4~11月に発電を始めた太陽光など再生可能エネルギー発電設備の出力(速報値)が、大型原発のおよそ1基分に匹敵する144・3万キロワットに達したと発表した。再生エネで発電した電力を電力会社にすべて買い取らせる「固定価格買い取り制度」が7月に始まり、設備の普及を後押しした。
内訳では、住宅に設置した太陽光発電が102・7万キロワットと全体の71・2%を占めた。大規模太陽光発電所(メガソーラー)など住宅以外の太陽光は37・1万キロワットで25・7%。バイオマスは2・8万キロワットで1・9%、風力発電は1・4万キロワットと1・0%だった」 (引用ここまで)
・住宅の太陽光発電 102・7万㌔ワット(71.2%)
・メガソーラーなど住宅以外の太陽光発電 37・1㌔ワット(25.7%)
・バイオマス発電 2・8㌔ワット(1.9%)
・風力発電 1・4㌔ワット(1%)
記事は、メガソーラーなどよりも、住宅での太陽光発電の普及が、最も効率的な再生可能エネによる発電を増やすことを事実として伝えている。
◯取材活動支援のお願い
フォトジャーナリスト 山本宗補活動支援
ジャーナリストの活動を支えてください。
・郵便振替口座(加入者名 山本宗補)
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・銀行振込
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