あきらめない市民(大飯原発再稼働抗議集会・デモ in 福井市)
(写真はクリックすると拡大します)
「西川一誠知事は16日午前、首相官邸で野田佳彦首相と会談し、再稼働に同意する意向を表明。これを受けて、野田首相が最終判断を下し、関電は再稼働のための作業を開始した。福島第1原発事故後、定期検査で停止した原発で初の再稼働となる」(毎日新聞6月17日から)
野田首相が最終判断をした翌朝の福井市内中心部。日曜日だが、福井県庁前の中央公園には、県内各地や全国から続々を市民が結集し、主催者発表で2200人が、集会とデモ行進に参加した。集会の初めにスピーチした小浜市で原発反対運動を40年以上続けてきた中嶌哲演明通寺住職は、デモが終わって公園に着いてから、私の問いかけにこうコメントした。
「80人がスピーチしたことに鎌田慧先生が驚いていた。そんな集会はこれまでないから。若い人たちに運営を任せて良かった。新しい脱原発運動のきざしを感じる」
かつての福井城址に建つ県庁の周囲はお堀で囲まれているが、そのお堀を一周するデモ行進の行列から、実際の参加者は主催者発表よりもはるかに多い印象を受けたほどだった。
福島から行脚をスタートし、8月6日までに広島入りする日程で「命の行進」を続ける日本山妙法寺の一団。集会前に県庁表ゲート前で団扇太鼓を叩き「南無妙法蓮華経」を唱える。各原発前では断食祈念を実施する。(写真は全て6月17日、福井市にて)
公園の隣の取り壊し中の県民会館?が、原発事故現場を彷彿とさせ驚いた。
集会場となった中央公園は、全国からの参加者であふれた。連日首相官邸前の合議行動に参加していた市民の希望者が、何とバス6台に分乗して早朝に到着した。官邸前で取材したことのある一家などは子どもを連れて来ていた。
中嶌哲演住職「若狭の40年にわたる経験則でいえば、同じ原因、同じ規模で原発事故が起きたことはありませんでした。巨大で傲慢な原子力ムラの意向や、政治的な思惑判断のみで大飯原発の再稼働に同意することは断じて許せません」
「再稼働は4人の大臣と一人の県知事で決められました。再稼働の根拠は全くない、再稼働の正当性は全くない。再稼働の合理性は全くない。電力不足です。嘘だ。安全だ。嘘です。責任は取る。とんでもない。こういう犯罪行為は許されない。裏切り行為です。あらゆる力を集中してこの恐怖の力から脱却しないといけない。それが私たちに与えられている責務です」(鎌田慧さん)
福井市内から初参加の「脱原発」イヌ。最初から最期までご主人と行進してました。
滋賀県から参加した男性。プラカードは他の人が作ったので、好きではない表現といった。「若い人も多くて、いろんな人が集まって盛り上がっていることは良いね。新しい運動の気配がするよ。関西広域連合の顔ぶれでは、経済界にねじ込まれたらひとたまりもないと思っていたから、嘉田知事はよくやった」
「うごかさないで」再稼働反対を帽子で表現した福井市内の合唱団の女性。
「僕って一体何だったのかな?」と悩む鉄腕アトム。福井市内の漫画家志望だった男性のプラカード。男性によるとアトムの使われかたは手塚治虫氏の本意ではなかったと、生前の手塚さんは言っていたという。市内の脱原発デモの参加者はかなり増えているとのこと。
政党、労組、市民グループ、個人参加、福島の女性たちと様々な立場の市民が参加し、表現も多様だ。覚えている限りでは、宮城県、福島県、茨城県、関東首都圏、静岡県、長野県、新潟県、愛知県、和歌山県、関西大都市圏、岡山県、四国、九州などから参加していた(もれているかもしれないが)。(6月19日追記:参加者の方から指摘がありました。富山県、石川県、広島県のみなさんも参加されていました。)
総合工作芸術家だるま森+えりこさん(神戸)と、いつも一人で抗議行動に参加しブログやツイッターで発信する大木晴子さん(東京)。
だるま森さんの楽器はいつも自作。スピーカーはミネラルウオーターのボトル。音楽に合わせて後ろにつづく集団は、黒装束に色鮮やかな花笠の播磨女「会津かんしょ踊り」隊。
会津の民衆の抵抗心から誕生したといわれる「かんしょ踊り」は伝染するらしい。
手甲は福島の怒りを、黒装束は死者の追悼を表す「かんしょ踊り」。踊り手は兵庫県の真宗大谷派僧侶後藤由美子さん。福島の女性や元舞踏家らも参加。
東京と違って、分断されなかったために、先頭から後尾までの一体感があった。
解散後に若者の呼びかけで有志約50ほどが手をつないで、お堀を囲み、福井県庁に向かって「故郷」と歌った。合唱団の女性の声が響きわたり、「さようなら もんじゅ君」のプラカードを持参した隣の若い女性が涙していた。
「美しい風景の中に子どもたちが遊び、祖先の魂も遊ぶ美しい村」の看板の向こうに見えるのが大飯原発。(6月16日撮影) 小浜市内の泊集落は大飯原発の向かい側の半島の先端にある小漁村。小浜市は大飯原発から半径10㌔圏内の人口の70%近くを占める。小浜市議会は再稼働に反対する決議をしているが、国も県も、小浜市を地元扱いしない。福島原発事故前も無視され、いまもって無視されている。
福島原発事故で何が失われたのか。国はもとより、若狭原発銀座を抱える福井県も、原発を立地する各自治体も学ぼうとしていない、としか思えない。原発事故は現在進行形でつづいている。
◯付記:ブログ内参考記事です。
・日常に溶け込んだ原発:福井県の原発銀座(上)(2011年10月18日掲載)
・日常に溶け込んだ原発:福井県の原発銀座(下)(2011年10月20日掲載)
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