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2011年10月18日 (火)

日常に溶け込んだ原発:福井県の原発銀座(上)

(写真はクリックすると拡大します)

 初めて福井県の原発銀座を呼ばれる若狭一帯に出かけた。若狭地方で生まれ育った作家の水上勉さんに深く関わる小浜市での撮影仕事があったおかげだ。仕事を片づけた翌日、駆け足で3自治体、4ヶ所、合わせて11基(10基)の原発のある風景を撮影してきた。撮影できたのは敦賀市の敦賀原発(2基プラス廃炉中の「ふげん」)、高速増殖炉「もんじゅ」。美浜町の美浜原発(3基)。高浜町の高浜原発(4基)。大飯町の大飯原発(4基)だけは短時間でのアクセスが無理で見ることができなかった。二回に分けて、原発のある日常風景を紹介したい。

 一言でいうと、沖縄の米軍基地を見ているような感じがした。本来ならば国立公園のような風光明媚な海岸地帯に不釣り合いで、極めて危険なはずの原発が多すぎる。日常生活に溶け込みすぎで、その究極は「もんじゅ」と真向かいの漁村の泳いで渡れるほどの隣接感。まさしく米軍基地と沖縄の関係を見ているような構図でもある。1美浜原発1・2・3号機。福井県でも人気の高い海水浴場に面し、夏場は海水浴客でごったがえすそうだ。丸屋根の3号機は、2004年に死者5名、重軽傷者6名の深刻な事故を起こした。(美浜町)
2高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)。手前の漁村は平日にも関わらず、名古屋方面から釣り客がたくさん来ていた。

_aaa9875_2敦賀原発のPR用に、見晴らしの良い場所に建てられた敦賀原子力館の中庭から。団体客のための記念写真席が用意されている。敦賀原発1号機は運転開始から41年目。日本原子力発電による原発で、関西電力・北陸電力・中部電力に配電する。(敦賀市)
_aaa9935原子力館に展示されている敦賀原発の全体模型。手前が建設途中の3号機と4号機。現在は埋め立て作業中という。左手下が廃炉中の「けごん」。その上が1・2号機。「けごん」は2003年3月に運転停止というので、まだ廃炉の工程途上ではないか?「けごん」は名前だけは知っていたが、どこに建っているのかも知らなかったので、全体模型は貴重な情報源となる。

 若狭の原発銀座の全体像は、直線距離にして約40㌔以内に、15基の原発が隣り合っている事実を想像してみてほしい。しかも高速増殖炉「もんじゅ」と敦賀原発との距離は3キロ。美浜原発との距離は4.5キロ。もんじゅの目の前にある白木漁港との距離は1キロ弱。仮に「もんじゅ」に深刻な事故でも起きたら、3ヶ所共に同時に制御不能の危機に瀕する可能性が一気に高まることは、地理的な条件からも素人でも想像できる。
_aaa9990大きな地図で見ると全体像、電力会社の分布図がわかる。
_aaa0237環境モニタリング(放射線量測定地点)マップ。全ての情報が敦賀市内にある福井県原子力環境監視センターに送られる仕組みを示す。

1_2白木漁港からの「もんじゅ」。その距離900m。

_aaa0030敦賀原発のゲート前で写真を撮っていると、「撮らないでください!」と警備の人が走ってきた。海外の紛争地取材ではよくあることだが、国道沿いにある原発ゲート前でなぜ撮影禁止なのかわからない。

_aaa0037敦賀原発のゲート前で測定。毎時0.15マイクロシーベルト。平常値の3倍程度。しかし、現在の東京都内の数値とほとんど変わらない。10月17日の午後、国会近くで測定したら毎時0.15だった。つまり、東京全体が少なくとも平常値の3倍はあるということを見逃してはマズイ。

_aaa0018敦賀原子力館を訪れた関西方面からの団体客。ガイドの女性から説明を受けているところ。おそらく中庭で記念写真を撮って引き揚げることだろう。団体ツアーには原発広報のための助成金が使われていると見られる。

 「もんじゅ」については毎日新聞などで報道されたばかりのニュースがある。10月14日に文部科学省の奥村副大臣が、「もんじゅの火は消してはならない」と敦賀市の河瀬一治市長と西川一誠知事に話したという内容。会談で河瀬市長は「もんじゅの火を消さずにぜひ目的を達成していただきたい」と運転再開を要望したという。詳細はリンク先の記事を読んでください。

 ここで引用したいのは、高木孝一敦賀市長(当時)が1994年3月に、故高木仁三郎さんも出席した原子力の「長期計画改定に関するご意見を聞く会」で話した愚痴。「原子力の神話からの解放」(高木仁三郎著、講談社+α文庫)から引用。
「私のところでやっている3、4号炉の問題でも、もう10年後に太陽光の発電ができると言ったら、今からでもお断りしたいですよ、本当に。(中略)私どもも決して、原子力発電所がいい、ほれ込んでやっているんじゃないんですよ」(高木孝一敦賀市長のことば・1994年3月)

3美浜原発の向かいにある漁村丹生(にゅう)から見える美浜原発3号機。距離は1㌔に満たない。ここも、関西方面からの釣り客が多い。

_aaa0086美浜原発の向かいには、4つの海水浴場が並ぶ。中でも美しい水晶浜海水浴場からの海と砂浜。

_aaa0261美浜原発3号機の模型。美浜原子力PRセンターの展示。
_aaa0304同模型。ただし1号機か2号機かはわからない。
_aaa0230注目したい展示内容。「原子力発電の優位性」パネル。「原子力発電の燃料となるウランは、(中略)他の燃料よりも優れています。原子力発電による発電電力量は、我が国全体の約1/3。関西電力では半分以上を占めています」と解説文。下の段の見出しを拾うと、「ウランは小さな巨人」「原子力を中心に将来を考えています」「輸送、貯蔵、確保も簡単」と続く。福島第一原発事故後に、こうしたウソと誇張で見学者を洗脳することができると電力会社、原子力産業は考えているのだろうか。

ここに紹介した三ヶ所の原子力発電所は、全て敦賀半島の先端に立地している。琵琶湖の北端との距離は30㌔しかない
次回は高浜原発と原発マネーで建てられた箱物を紹介する。


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