我が田舎・信州御代田町の秋本番
(写真はクリックすると拡大します)
写真展の展示替えを控えていたので、3週間ぶりに帰郷した。朝方は12月を思わせるひんやり感だったが、快晴の秋空。実り多き収穫の秋を迎えていた。放射能汚染を心配せずに、事故前と変わらぬ秋の当たり前の風景が、今年は心に沁み入り感慨深い。原発事故で人間の想像をはるかに超える放射性物質で汚染されてしまった福島県各地の取材をしてきたから、なお一層実感する。
暗室小屋の北側にある畑から見える我が浅間山。おとなしい構えだ。10月3日撮影
小豆の収穫をするオフクロさんは91歳。元気で畑仕事に生きがいをもってくれていることが何よりもありがたい。背景は里芋。例年以上に伸びたが堆肥が良かったのかは不明。10月3日撮影
クルミは例年以上に豊作だった。というか、収穫のタイミングを逃すと、拾うまでに痛んでしまうのが通常。クルミは用水路でしっかりと洗い、しばらくの間、日干しする。今では中国産などが安く出回り、クルミを貴重品と誰も思わない時代だ。10月2日撮影
小諸市に住む伯母から数年前にいただいたコルチカム。毎年、花が増えている。
これはビッシリと実をつけた山法師。真っ赤でおいしそうなのだが、渋さもあり種だらけ。昨年、大喜びで収穫したのだが、ジャムにするのは面倒だった。実は山モモの実と勘違いしていたことを知った。
山本宗補写真展第二弾「また、あした 日本列島老いの風景」の展示。モノクロの全紙と全倍作品40点を展示しています。妹が8月にオープンした「ミニギャラリーはやみ」の企画展。10月4日~16日。午前11時~午後6時。期間中無休。隣接するフリーマーケット開催日は火木土。連絡先は0267-41-0724(fax兼)。
全倍(60cmX90cm)の作品。
御代田町馬瀬口、しなの鉄道沿線南側の水田地帯。10月4日撮影
御代田町の稲刈りは10月初旬。私も高校生の時までは鎌で稲刈りしていた。自家用米だったが、その後、親も手放したので、水田はもうない。
稲刈りを終わった農家のおばさんに聞くと、御代田町の米は「あきたこまち」とのこと。放射能汚染の心配は町役場が検査して大丈夫とのことだったので、ほっとしたとおばさん。丹誠込めて作った米が基準値こえのセシウムが含まれていて出荷もできない、食べることもできないことほど農家にとって悲しくて辛いことはないとおばさん。農家だからこそ、福島県の農家の痛みが想像できる。
遠景は浅間山の連山。この水田地帯は浅間山南麓の伏流水を水源とする用水路が、江戸時代から整備されていたと思われる。もっと遡れば、古墳時代の竪穴住居跡も発掘されている一帯。古くから生活しやすい理想的な環境だったと思われる。御代田町には縄文時代の遺跡も火焔土器も掘り出されている。浅間山が冠雪するのは11月半ば。10月4日撮影
日本を代表する活火山の1つ、浅間山。その南麓に広がる我が田舎町は、原発から直線距離で270㌔弱。それでも、福島第一原発からの放射能は微量でも確実に飛散してきている。「遠いから安心」ということは、空間線量を、土壌を、食品をできるだけ数多い地点で測定してみなければいえない。それが目に見えない放射性物質拡散の恐ろしさ。
仮想敵国からのミサイルで原発が攻撃される必要もない。大江健三郎さんの言うように、私たちは広島、長崎につづいて、3発目の核爆弾を自分たちの頭の上に落としてしまった。大切なものは、失ってから初めてきづくものだが、山や森や川や大地が放射能に濃く汚染されてしまっては、末代まで取り返しがつかない。
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