9・19「さようなら原発」6万人集会&デモ
(写真はクリックすると拡大します)
果たして5万人の参加者が集まるのだろうか?個人的に難しいのではないかと予想していた「さようなら原発5万人集会」は、開始前から会場となった明治公園がこの市民集会には狭すぎることが明白だった。最寄り駅のJR千駄ヶ谷駅のホームから、参加者の長蛇の列が会場までつづいた。そのスケールは、毎日新聞社や共同通信社の空撮写真で一目瞭然だが、ここは様々なバックグランドを持つ市民が、「脱原発」「原発に頼らない社会」の早急な実現を求め、一つの大きな声として国内外に伝えようと結集した成果だ。参加者数が多いと、それだけアピールの方法が多岐にわたり、アイデアの豊富さを紹介するだけでも楽しいものだ。通常よりも多い写真点数を紹介したい。
呼びかけ人のみなさん。左から澤地久枝、内橋克人、鎌田慧、大江健三郎、落合恵子の各氏。右端は福島県からのゲスト・武藤類子さん(ハイロアクション)。
大江健三郎さんが、この日のスピーチのために用意した生原稿。「原子力エネルギーは必ず荒廃と犠牲を伴います」。いろんなことが読みとれるし、想像をかき立ててくれる。twitterで別カットの原稿写真を載せたら、一日でのビューアーが、何と35000人をこえてしまったほど、大江さんの生原稿の持つ力を実感させられた。
呼びかけ人の一人、澤地久枝さん。膝の骨折後まもないために、杖で登場したがお元気そうだった。「この国は原発などを持ってはいけない国だったはずです。~今回の原発事故の原因と経過の真相究明を徹底させたい。政府や東電の秘密主義はこの国の悪しき体質を反映しているからです。~ ここで私たちは負けることはできないのです」(澤地久枝さんのスピーチより)
俳優の山本太郎さん。ゲストとして壇上でのアピールで大群衆を盛り上げたのは、呼びかけ人の子どもと同世代という彼の若さと行動力。
「テレビ新聞は去勢され骨抜きにされていると思います。~はっきりしたのは、いまの日本の政府は人々の命を簡単に無視できる政府だということ。~こうしている間にも被曝しつづけている人たちがいます。一刻も早く高濃度汚染地域の人々をサテライト疎開させる。原発を一斉停止させる。とにかくみんなで生き延びたいんです。~デモ署名は政治家には痛くない話だ。署名は倉庫に、デモは目障りと思われるだけだと。いちばん必要なのは人々の力、市民の力。それぞれの代議士の事務所に行ってプレッシャーをかけることです。代議士に今どういう立ち位置にいるべきかをはっきりさせてください。大人がすべきことは子どもたちを守ること、そのためには行動を起こすことです。ぜひ力を貸してください」
福島からの代表・武藤類子さん(ハイロアクション)が読み上げるメッセージに、涙ぐむ福島県からの参加者。
「福島はとても美しいところです。~山は青く水は清らかな私たちの故郷です。~素早く張り巡らされた安全キャンペーンと不安の狭間で引き裂かれていく人とのつながり。~逃げる逃げない、食べる食べない、子どもにマスクをさせるさせない、畑を耕す耕さない。~様々な苦渋の選択がありました。~事実は隠されるのだ、国は国民を守らないのだ。~私たちは棄てられたのだ。~私たちを馬鹿にするな、私たちの命を奪うな。~~~便利さや発展が差別と犠牲の上に成り立っていることに思いをはせなければなりません。原発はその向こうにあるのです」 静かだが感動的な内容だった。動画で聞いてみてください。
「想像して下さい。まだ平仮名しか知らない小さな子どもが、夜中にとつぜん起きて『放射能来ないで』と泣き叫ぶような社会をこれ以上続けさせてはいけないはずです。私たちは、この犯罪にこれ以上加担しないことを自分と約束しましょう」(落合恵子さんのスピーチ)
「政府の人が心から『福島の子どもは大丈夫』と思っているのか知りたいです」「ぼくはげんぱつじこまえのふくしまにかえりたい」
「原発に殺される」(中曽根康弘氏と読売グループ会長・渡邊恒雄氏の顔写真)
6万人規模の集会とデモの新聞テレビ報道については、院長先生のブログが写真付きでわかりやすい。東京新聞(中日新聞)が最も詳細に報道し、共同通信社と毎日新聞社もしっかりと報道したことがわかる。
渡邊恒雄氏が会長をつとめる読売新聞は写真なしのベタ記事扱い。このブログにアクセスする読者の大半はすでに気づいていると思うが、自ら経営する読売新聞社を挙げて「原子力の平和利用」キャンペーンを展開し、原発建設に奔走した正力松太郎の読売と、産経、日経は脱原発関係の動きは社の方針として無視軽視していることが明白。その意味ではジャーナリズムを捨てた報道機関と判断するほうが正しいようだ。朝日新聞のデモの扱いも、一面に掲載だが、おざなりだ。
「地下深い洞窟の中で、なおかつ原発を持ち続けたいという、この意図の裏に何があるかです。~核武装が可能な潜在力を持ち続けようという政治的意図だと思います」(内橋克人さんのスピーチ)
「もんじゅ プルサーマル原発廃炉へ!」「発送電分離を実現し 原発の電気は買わないぞ!」
「脱原発」ファッションのお二人。今後のアピール方法の多様性が見える!?
「あなたが行動しなければ何も変わりません」「放射能の除染急げ」「東電は潰せ。我々の管理下に。自然エネルギーへ」
「Farewell to Nuclear Power」(原発にさようなら)
「原爆写真家」とも呼ばれ、「伝説の報道写真家」でもある福島菊次郎さん(90歳)。かつてベトナム反戦市民運動や全共闘の取材で、菊次郎さんが縦横無尽に撮影して歩いた東京に舞い戻り、新しい市民運動の萌芽を自分の目で確認しようとしていた。菊次郎さんの目に、脱原発で結集しはじめた市民の大きなうねりはどのように映ったのだろうか?
追記:誰が決めたかは知らないが、参加者を三つのカテゴリーに分けたデモコース分けはなぜ必要だったのだろうか?主催者は、①A.個人参加者・市民団体、②B.労働組合・民主団体、③C.政党・各種団体等に三分した。混乱を避けるためというのが理由なのかもしれない。だが、市民団体と民主団体と各種団体の違いは何かと誰かにに訊ねられたら、主催者は回答できるのだろうか?市民団体も各種団体も民主団体とどこが違うのか。一つの列に個人参加者や労組や各種団体が混在していて何かマズイのだろうか?
私は撮影には躊躇なくAの個人参加者・市民団体を選んだ。労働組合や政党の同じ様なノボリを掲げ、同じような格好で歩く集団の写真はあまり撮りたいとは思わないし、撮っても写真を紹介しにくい。じっさい、Bコースのデモ行進の写真も撮ったが、掲載するほどの面白みが感じられないので使用していない。
はっきりいって、分けようにも分けられないバカバカしい発想だと思う。もともとデモは自由参加であり、杓子定規で全員が印刷された同じアピールを掲げていたら気持ちが悪い。そういう集会やデモに立ち会っても参加者の自由意志を実感することは稀だ。肝心なのは、いろんな立場の人が、違いを超えて「脱原発」の強いメッセージを発信することではないのだろうか?代々木公園にはミュージシャンを中心とする若者たちが大勢集まり、独自の脱原発デモを実施している。一緒にやりにくいと実感したからではないのか。
参加者の思い思いのメッセージは、6月ころまでの脱原発デモの方が、多様性と参加者個人の明確な意志を感じることができたと思う。
「核に依存して生きることは人類には絶対できない。~私たちは原発にさよならを言います。~これから1000万署名にみなさん頑張ってください。来年3月24日、集約集会を開きます。その間にも講演会・音楽会・いろんなことを考えています。アイデアを募集します。みなさん、一緒にやっていきましょう」(鎌田慧氏のスピーチから)
この日の集会・デモ参加者は、主催者発表で6万人。参加されたみなさん、準備段階からお疲れさまでした。諸事情で参加できなかったみなさん、これからがみなさんの出番です。
・リンク先:もっとデモの写真を見たい人は、大木晴子さんのブログ「明日も晴れ」をごらんください。9・19「 原発にさようなら集会 」 明治公園 写真掲載 NO2
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