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2011年6月30日 (木)

大震災被災地で読経し、原発廃止が死者の真の回向と実感した日本人僧

昨日の6月29日、佐々井秀嶺師が静かにインドへ帰国した。44年ぶりの帰国を果たした佐々井師が、「もう二度と日本には帰ってきません」と誓って日本よりも長く生活するインドへ帰国したのが2009年6月。丸2年が過ぎていた。昨年10月には、「必生 闘う仏教」と題した著書を集英社新書から出版しているので、日本国内でも佐々井師の存在と活動を知る人が一挙に増えていた。

今回の二回目の一時帰国はご本人の希望で一部の支援者以外には内密にされていた。佐々井師は東日本大震災の津波の映像をインドのテレビで毎日のように見続け悲しんでいたという。もう帰国しないと言い切ったものの、居ても立っても居られずに帰国したのは6月8日。帰国する意志を電話で知らされた私は、津波被災地を案内しますので、膨大な犠牲者を弔ってくださいとお伝えした。

6月13日からの三日間、私は佐々井師を案内し、3人の日本人のお弟子さんと、長年師のドキュメンタリーを撮影している三旅氏との6名で岩手県の宮古市から福島県までの弔いの読経行脚を開始した。

_aaa9348岩手県宮古市  6月13日

_aaa9404_2岩手県宮古市  6月13日

_aaa0788宮城県南三陸町  6月14日

_aaa0428_3 岩手県大船渡市  6月14日

_aaa0894宮城県石巻市 6月14日

_aaa1149宮城県東松島市野蒜  6月15日

_aaa1464_2福島県南相馬市原町区  6月15日

佐々井師は各所で主に般若心経を唱え、パーリ語の五戒門を唱え、読経後には犠牲者や被災者に呼びかけるように口上を唱えて締めくくった。佐々井師は、3日間の主な被災地での駆け足的な鎮魂の読経を振り返り、こう感想を話してくれた。

このように大規模な被害は想像を絶するもので、ことばでは言い尽くせない。胸がいっぱいになりました。同時に私たちは大自然の脅威に対し、もう何もできなく手を挙げております。

ただ、原子力発電所の問題については、全東日本、あるいは全日本、ないしは全世界に深い影響を与えています。原子力発電は我々のために人工的に良いことをするというために成したことですが、科学的なもので人類の手によって人類を滅亡せしめ、人類の手において日本を破滅に導く現代の科学、そうしたものに対し大きな怒りを覚えました。

お勤めしたように仏陀は平和の使途である。そのためには遠慮ない呵責ない発言をさせていただきました。まず原子力発電所を止めなければならない。地下に眠った多くの人たちに対する本当の回向は、政府が原発を廃止することが真実の回向となると思う。地下に眠る25000人の怨霊は、地下において絶叫している。その声が聞こえないのか、これからの日本を再びわれわれのようにするのかと絶叫している。

いかに坊さんが教典を読経して歩いても、この原子力発電所を廃止できなければ、教典も無力であり、仏法の法道も教学も一切の宗教の教学姿勢も無益である。ましてや「もんじゅ」だとか「ふげん」だとか、菩薩の名前においてそうした原子力発電所などができていることは断じて許し難いものである。文殊菩薩の本当の菩薩道を見つめよ。普賢菩薩の本当の菩薩道を見つめよ」(文責:山本宗補)

佐々井秀嶺師のことを知らない読者のために付け加えておきたい。2年前の二ヶ月間の日本全国を行脚した際、佐々井師は広島と長崎では被爆者を追悼し、長崎の「嘉代子桜」との縁で山梨県の子どもたちによる紙芝居グループとの交流もある。

10数年前にインド政府が地下核実験を実施した時には、仏教徒を率いてデリーに乗り込み、国会議事堂の当時の首相に向かって、「仏陀の誕生日に核実験をやった大馬鹿者のバジパイ首相よ、出てこい」と怒鳴ったこともある仏教者だ。

佐々井師は母国日本の津波被災地を目の当たりにして、大乗仏教のいう無常観を深くかみしめる機会を得たようだった。7年前から佐々井師の活動に密着してきた私にとっても、師を案内できたことは意義深いことだった。

(同行者は井上空龍、高山龍智、宮本龍勝、小林三旅の各氏)

佐々井師に関する私のルポはWebでご覧ください。◇山本宗補HP:インド:佐々井秀嶺・アンベードカル・インド仏教

 

 

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コメント

初めまして。
山本様の様々な取材を興味深く拝見させていただいています。
佐々井秀嶺上人のお言葉に感動し、
私が経営するウェブショップの日記に
抜粋・転載させていただきました。
事後報告で申し訳ございません。
もし問題がございましたら、
お手数ですがお知らせください。
よろしくお願い致します。

投稿: Pankaja | 2011年11月27日 (日) 18:02

ブログに対する感想ありがとうございます。事後報告でも報告なしでも、出所を明示して引用されることは今後とも構いません。よろしくお願いします。

投稿: 山本 | 2011年11月30日 (水) 20:31

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