暗室小屋周辺の「風力発電」と、釜石ウインドファーム
28日に長野市で講演が二つ重なったこともあり、田舎の暗室小屋に3泊4日で帰郷した。講演の一つは昨年末に松本市で長野県内日蓮宗の僧侶のみなさんに、インドで仏教徒の最高指導者として破天荒な活動をする佐々井秀嶺師のことを話させていただいたことがご縁だった。参加者は長野県保育協会のみなさんで、保育園の経営者や園長先生など。日蓮宗のご住職が市内で保育園をやっているご縁で、当初は世界各地で取材してきたことを踏まえ、世界の子どもたちの置かれた現状などについて話す予定だった。
そこに東日本大震災が起きた。講演内容は大幅に変更し、津波被災地や福島原発周辺取材をスライドで紹介した。福島原発事故による放射能汚染の問題が子どもや幼児に及ぼす心配について、原発から離れているからといって他人事と思っているとマズイですと強調した。一時間半以上のスライドトークとなったが、50人ほどのみなさんは真剣に耳を傾けてくれた。
二つ目は友人が緊急企画してくれた大震災の緊急報告会。こちらは参加者は多くはなかった。やはり原発事故や津波被災地が遠いことからくる「温度差」なのだろうか?原発の問題やダイオキシンなどを生むゴミ焼却場問題、自然エネルギー利用派など、古くから活動している友人知人は多いのだが、マイノリティーがマジョリティーにはなかなかならない厳しい現実がある。
(隣町の佐久市に住む伯父は8月で97歳になるが、軽自動車でふらっと立ち寄ってくれる。91歳のオフクロとは本当に仲の良い兄妹の関係だ)
我が暗室小屋周辺は一部が果樹で一部が畑。果樹といってもリンゴ2本、ラフランスや梨が数本、アーモンド1本。畑はオフクロさんが自家用のための野菜作りに精を出します。季節的にやっと畑仕事の開始時期となったので、種まきなどを急ぐ野菜の畝作りに精を出した。一日の畑仕事でスイカとメロン用の畝をこしらえ、里芋用の畝とサツマイモ用の畝とトウモロコシ用の畝を作り終えた。(追記:昨年の暑さで落花生がたくさん収穫できたので、「今年は被災者に落花生を送ったら」とオフクロに提案してみた。するとオフクロは俄然元気になって、「それは良いことだな。よし、目標ができたから、空いているところは全部落花生を蒔くぞ」。)
で、タイトルの「風力発電」のことだが、正確には「ペットボトル風車」のことで、ガラガラとうるさく回転しているだけで発電しているわけではない。この風車は昨年から導入したモグラや鳥退治用だ。地中のモグラは落花生や芋類を知らないうちに食べてしまう。風車がモグラ退治に効くというので、手製の風車を10基作って、畑のあちこちに立てた。今はタマネギ、ジャガイモ、スイカの畝に立ててある。ペットボトル風車は無料で24時間働いてくれる優れものなのだ。
話飛んで、先月末に岩手県大槌町に向かって山道を走っていて目に入ったのが写真の風力発電だ。ネットで調べて詳細がわかったのが釜石広域ウィンドファームhttp://www.eurus-energy.com/news_2004.html。 釜石名が冠してあったので釜石市の敷地かと思っていたら、遠野市、大槌町、釜石市の三つの自治体にまたがる丘陵地帯に設置されていた。看板を見ておもしろそうなので山道をドンドン登っていって写真を撮ったのだが、牧場をやっている人に聞いてわかったことは3月11日の大震災以降は稼動していないという事実だった。2004年の操業時、「風力発電所で、操業中案件としては日本国内最大規模」とある。早期の復旧発電を願うばかりだが、脱原発を具体化するのに風力発電も欠かせない自然エネルギーの一つだ。
原発推進行政の結果として、自然エネルギーの研究開発が何十年も遅れ、「もんじゅ」や六ヶ所村使用済み核燃料リサイクルに3兆円をこす莫大な浪費をしてきた事実がある。東京電力の人災で回避することができなかった福島第一原発の収束の方向が見えない放射能汚染。その周辺を取材してきて実感するのは、エネルギーシフトしか日本の生き残る道はないことだ。
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コメント
おかあさんとおじさんのツーショット、ほのぼのとした素敵な写真ですね。被災地の写真とは正反対の一枚です。ニュース性はないかもしれませんが、こういう一枚がほんとうに心に残る一枚。大事にしたい一枚だと思います。
風力発電もこの写真のような規模のものだと騒音や低周波の影響が大きのでしょうね。自然エネルギーの雄である風力発電ですが、そうした点が改善できたらもっと広まると思うのですが。野辺山にも一基大きな風車(発電用)がありますが、そうした問題があるのが玉に瑕です。
畑のもぐら避けペットボトル。これを見るとなんだか嬉しくなってしまいます。
投稿: 風の三郎 | 2011年5月 4日 (水) 09:10